第15章 襲撃
神田「もう、解ってる」
こいつに触れて、伝わってきた。
色んな、見たくもねえ感じたくもねえもんを
たまたま生まれ持った霊感とやらで感じ取れるこいつにとっては
純粋過ぎるこいつにとっては
この世界で生きるということ自体が
いずれ訪れる「死」以上の恐怖ばかりで、とても息がしづらい場所だということも。
安心できる時など
俺たちとバカみたいなことをやってる時ぐらいだということも。
相手の気持ちになりすぎて、やらないでいいことまで必死にやろうとすることも。
一人で、辛かったんだろ?
誰にも吐けねえまま、苦しんで
それでも、相手が苦しんだり怒ったりするのが嫌で、堪え続けてきたんだろ?
本当は…理解者が欲しかったのに
無理やり押さえ込んで、相手の方が大事だと思い込んで…
お前は、「自分も大事」という考えを捨ててしまった。
そうすることで、逆に自分が壊れていった。
精神が耐えられなくなるほどに、自分を追い詰めていった。
こいつは、優し過ぎた。
自分が存在することで他が苦しむぐらいなら、自分を殺そうとするバカだ。
でも…
お前を通して、伝わってきた。
神田「俺がいる。
飲め!!」
恵土「ユ、ウ?)
……っ…」こく
俺から見ても、こいつの意識がおぼろげなことは解ってた。
それでも、飲み込むように強く叫んで
なんとか…辛うじて飲み込んだ瞬間、変化が起きた。
じゅううう
恵土「っう」
傷口が急速に埋まっていき、元通りに治り
拡がっていた、アクマウイルスも消え去っていた。
見ての通り、星型の模様が全て消え去った。