第15章 襲撃
知っていた。
小さい頃から
あいつは人を助けようと関わるくせ、どこか背を向けていた。
誰かに負担をかけまいと
迷惑をかけまいと、必死だったことも…
弱音も吐かねえで、愚痴も零さねえで
いつも笑って、大丈夫じゃなくても「大丈夫だよ^^」と笑う奴だった。
自分のことであっても、他人事のような反応をしていた。
そのくせ、人一倍
向き合う相手に対して
自分のことのように怒って、泣いて、想い遣れるバカだ。
人が憎いくせに、許せないくせに
それでも…
接したこともないのに、そう接されるもんの気持ちになって
害意も悪意も、一切持ち合わせず
たとえ傷付けてきた奴が相手にしたって何事もなかったかのように接していた。
問いただしたら
それなりの事情があったんだろうと汲み取ろうとしていやがった。
無理やり、自分の怒りやそういったもんを捻じ伏せて
「自分さえいなければ、そうはならなかっただろう」と、自分を常に責め続けていた。
婦長にも聴いた。
『今まで…自分がいたことで
いたせいで、周囲から傷付けられてきた。
そのせいで、その誰かが…
あの世で、その行為を責められることが嫌だ。
それが、一番苦しいんだよっ;』
そう涙したことも。
それでも…
お前はあの時(湖での一件)、生きたいと願ったんだろう。
俺たちと一緒に、バカみたいに笑って生きていたいって思ったんだろ?
なら…
神田「生きろ!!!!」
涙が滲み、視界がかすむ中
恵土へ向けて、そう強く呼びかけた時
恵土「っ…」
まるで、それに応えるかのように
僅かに目を開けたのが、おぼろげながらも見えた。
はっきりと映った。