第15章 襲撃
もはや、一刻の猶予もままならない。
恵土「…ッ」
青ざめるその顔に
このままだと数秒も持たないことは、誰の目にも明らかだった。
ラビ「!ユウ?」
足を止めた最中、神田は行動を示した。
がり
ラビ「い!?;自傷!!?;」
左腕で抱き締めたまま、右手の付けねを噛んで
血を流させた。
神田「マリの時のようにうまくいけばいいが!)
飲め!」
ラビ「ええ!?;」青ざめ
恵土をその場に横たえてから
左膝の上に背を乗せ、左腕の上に頭を乗せ、左手で左肩を掴んで支えながら
力なく、浅く弱々しい呼吸を繰り返す
開いたままの口に、近づけた。
その最中、神田の血が口の中へ入っていった。
神田「よし、飲み込め!!」
ラビ「何してんだ、この緊急事態に!!;」←事情知らない
恵土「う…
ぜえ…ぜえ…」真っ青
神田「ぎり)…」
真っ青なまま、呼吸が止まりそうになる恵土に
それを飲み込む力さえもないようにも見えた最中
俺は
僅かな確証と共に、声を張り上げた。
神田「飲めば、きっと助かる!)
生きたいんだろ!!本当は!」
こいつの精神に触れて、伝わってきた。
本当は、解って欲しかったんだろ?
周囲の誰もが敵だという状況で
誰も傷付けたくなくて
自分の抱く思いも、意見も、全て押し殺しながら
それでも生きてきたこいつにとって…
人間は、恐怖そのものだった。
泣いて震えながら、自分が悪いんだと思い込んで
自分の存在そのものがいけないんだと思い込んで
そうでなければ、誰かを傷付けてしまいそうで…
だから、そう思い込むしかなかった。
それが苦しくて、死んだ方がマシだってぐらいに思い悩んでて
でも、内容があまりに重々し過ぎて、話せなかったんだろ?
誰かを、苦しませたくなんてなかったんだろ?
だから…
無理やり、大丈夫だって笑って抱え込んで…しょい込んで……
いつだって、一人でッ…
無理ばっかしやがって(ぎり)
神田「絶対に離さない!
お前のことをなんだかんだ言う奴なんざ、俺が片っ端から黙らせる!!
だから飲め!!
まだ、俺と一緒に生きていたいんだろ!!!??」
その時…
頬に温かい何かが、伝って落ちていった。