第14章 束の間の平穏
その頃…
新たな方舟の中で、話をしている人たちがいた。
ロード「あのね…ティッキー」
ティキ「ん?」
ロード「…
トゥルー様が宿ることに決めたの、解った気がするんだあ。
最近、夢を繋げて知ったんだけどね」
ティキ「?
へぇー。何を?」
ロード「恵土はね…
自分の命を、毛ほども思っていない。
自分自身を労わることさえ、出来ずにいた。
きっと、それは…
そうすることが普通だと認めてしまえば…
それまでの自分は何だったのか。
そう考えちゃうからだと思うんだあ」
そうして、伝わってきたのは…
『自分を、労わってあげて…』
そう呟かれた声と、温かな抱擁
誰がやったかは、見えないようにしてある。
でも…
その時、泣きながら返ってきたんだ。
恵土「そんなの、ないよ;
今更過ぎるよ;;」
夢の中でね、一度だけやってみたんだ。
そしたら…
そう言って、涙をぼろぼろと流してた。
恵土「そうでなきゃ、それまでの自分は何だったの?
あの時、あぁいう風な目に遭ったのは何だったの?
殺されようとされなきゃ、おかしいんだ。
傷付けられなきゃ、おかしいんだ。
そう思わないと、自分が自分でいられなくなってしまう。
誰かを憎むことが、本当に辛い。
だから…殺さなきゃ、いけないんだ。
自分を、嫌いにしかなっちゃいけないんだ。
消えなくちゃいけない存在が、自分そのものだから。
そんな風に言う人なんて、いる方がおかしいんだ。
いることそのものが、罪な存在。それが、自分だから…
ずっと、そう言われてきたから。それでひどい目に遭い続けてきたから。
だからそれでも耐えてこれたんだ。
それが、そうじゃないって言うなら…
一体、それまでの苦痛は一体何だったんだ;」ぼろぼろ
息苦しいほどの想い、苦しみが…
伝わってきて…
僕まで、思わず泣いちゃったんだ。