第14章 束の間の平穏
その一連の動作は、いつもの恵土さんと違っていて…
誰かが乗り移っているかのように見えた。
奏でる音色も、歌声も…
それらは、ひどく懐かしいもので……
アレン「…;;(ぼろぼろ)
!!あれ…
何で、涙が…(ごしごし)
…止められないっ;」
引きつる声に、嗚咽…
それらは、ひどく愛おしくて……
なぜか、涙が止まらなかった。
そうして隣を見ると
リンクは、歌詞と音程をメモしていた。
1番目と2番目の歌詞は同じ。
ただの繰り返し。
でも…そこには、心が宿っていて…
一つ一つが、とても愛おしくて
よく解らない、言葉にできない。
でも…
どこか…
何千年も前、同じように聴いていたような感覚に陥った。
一日千秋よりも、遥かに…
心が張り裂けそうになるほど、愛おしい想いに……
涙が、とめどなく溢れた。
何で、こんなに懐かしい…
僕とマナはただの捨て子とピエロだったはずだ。
それだけじゃないのなら…
僕らは一体、何ものなんだ……;
そう試行錯誤する中、恵土さんは演奏を終えた。
恵土「…14番目…
そう…」
リンク「?どうかしましたか?」
恵土「がくっ)…っと」
とっ(ふらついた恵土さんの背をリンクが支えた)
リンク「…何か解りましたか?」
恵土「ううん;(首を横に振る)
(またトゥルーに乗っ取られちゃったな;途中から;」
そう困ったような顔で
うろたえたように答える恵土さんを見て…
ふと、窓に映った姿を見ると…
そこには、その後ろには…
髪の長い、とても懐かしい女性が見えた。