第10章 騒動

どんなに人の闇を知っても、味わっても…

それでも…
決して、揺らいじゃいけないものがある。


それはきっと…

人として、生きる上で大事なこと。



そして……


その全てを背負った上でも

哀しくて辛くて、胸が張り裂けそうな思いに駆られても…



それごと、「今」を笑って過ごせたら…

それだけで、それを見ているだけで幸せな気持ちになれた。



そんなあいつだから…

気にかかって、しょうがなかった。



ラビ「なあ…恵土。

アレン、めっちゃ心配してるぞ。


お前は…

『自分なんか、傷付いて当然だ』って言ってたけど


それで哀しむ奴がいるってこと、忘れてないか？



殺されるって環境で、周囲が全員敵で

そんな環境だったから、余計そう思っちまったんかもしれねえけど…


それが辛いって思う奴がいること、忘れんなよ。



大切であればあるほど

想えば想うほど、それはどうあっても避けられねえ。


必死に爆発させまいと、いっぱいいっぱいで…

見失いがちになるかもしれねえけど……



俺は…俺らは…

そんなこと、するような奴じゃねえんだから…


だから…

そんなに、辛そうな顔をする必要なんかないんだ。



大丈夫…

俺も…ユウは特に、それで離れたりなんかはしねえから。


本当に護りてえんなら…

全部はらわたまで遠慮なくぶちまけて、笑い合おうな」微笑



そう、恵土へ向けて呟いていると…

その笑顔は、どこか輝きを増したように感じた。


きっと、ユウもリナリーも伝えてるだろうことを再び呟いた。



その過去を知っている。

だからこそ、笑うことがどれだけ難しいかも知ってる。



だから…

その笑顔が余計に眩しく、輝いて見えた。




そして…

人の闇を知るからこそ


その純粋無垢な姿が…とても美しく感じた。