第9章 異変
唇を奪われた。
それに気付くのに
私は、数分かかった。
その間、ユウは…
ずっと抱き締めたまま、離そうとはしなかった。
『もう二度と、失いたくない』という想いが垣間見えるほどに
愛おしい想いが、感情が
嫌というほど、ひしひしと伝わってきた。
だから余計に…
それが解っているから
その失う痛みも辛さも、経験していたから……
手放すことが、出来なかった。
神田「…悪い。
卑怯なことを、した。
そんなことされたら、動けないって解ってた。
それでも……
止められなかった」ぎゅううう
そう抱き締める力を強めるユウに…
私は、共感しか出来なくて……
恵土「解ってるよ…
知ってるよ。
それでも、嬉しかった。
純粋に…
そう思ってくれたことが、愛してくれたことが…
本当に…本当に、嬉しかったんだ。
卑怯でもいい。
そんなユウが、好きだよ。
嫌いになんて、なれるわけがない。
愛してやまないぐらい、大好きなんだよ;」
神田「…そうか」微笑
恵土「異性としては見れないけど…
それでも、愛おしくて仕方ないって想いは同じだよ」
神田「は?同じじゃねえ」
恵土「へ?」
神田「キスしたいって思わねえなら違うだろ」
恵土「んー;
確かにしないけど大事にしたくてしょうがなくて;」
神田「それは恋愛感情じゃねえし俺のとは違う」きっぱり&イライラ
リナリー「まあまあ。
人として好きって、凄く大事だと思うわよ?
私も…色々と救われてきたし
恵土ちゃんがいたから、笑ってこられたの^^
だからね…
礼を言うのは、私たちの方なのよ」にっこり
恵土「…そう言ってくれると、本当に嬉しいよ^^」
日差しが差す中
それが少し驚きで曇りながらでも、温かいことに変わりはなかった。