第9章 異変
向き合っただけで、伝わってきた。
ユウも、リナリーも…
私の過去のことを、ちゃんと知っている。
それでも…
ちゃんと向き合って、受け止めようとしてくれている。
そのありのままの自分ってものを、愛してくれている。
各々受け入れ方は違えど
どちらも、幸せであって欲しいと望んで
笑っていて欲しいと望んで…愛してくれた。
救いたいと、強く想ってくれている。
神田「お前は…悪くねえよ。
どっちも護ろうとした。愛していた。
それでいいだろ。
それごとひっくるめて、「今」があるんだろ。
だから…
ここには、泣きに来たんじゃねえ。
少しでも…痛みを味わった分、楽しめ。
俺に…ずっと、そうしてきたように。
そうしてくれたように…付き合いに来たんだろ(ぎゅう」
恵土「!!」
その瞬間
涙が、その目ににじんだ。
私のためを思って、動いてくれた。
それを実感するだけで…
再び、涙が込み上げてきた。
神田「誰もが…
お前のようにはなれねえよ。
愛して、受け入れて
そんな奴の幸せ望んで、笑えるわけじゃねえよ。
どうあっても、憎しみやそうしたもんからは逃げられねえ。
でも…
お前がそういったもんから
それだけに覆われていた俺を、引きずり出してくれただろ」
その瞬間、伝わってきた。
今まで、バカげた勝負事で張り合ったり
楽しいことをして、笑い合ったり
蓮池での時、腹の底から笑って楽しんだことも…
大好きだという想いで、満たされたことも。
その時…
本当に、心が、魂が救われたことも