第9章 異変
「自分」という名の人格は
一人で成り立ったものじゃない。
きっと…
今までの経験、全てによるものだって思うんだ。
「人っていう存在は、助け合って存在しているんだよ?」
いつか、父が言っていた言葉がよぎる。
母からの受け売りだと言いながら、照れ臭そうに言った言葉。
きっと、それは…
ずっとは生きられない。
それでも、お前には生きていて欲しいと望みながら託されたものだと気付いた。
私は…(涙)
自分よりも…
それよりも!
両親に、生きてて欲しかった!!
助けを、求めてもいいのかな?
苦しいって、言ってもいいのかな?
自分は、そうしてはいけないって思ってた。
だって…両親が死ぬ要因となってしまった。
殺してしまった、存在だったから。
伸ばそうとする手を
無理やり感情ごと押さえ込んで、泣きたい気持ちも全部押さえて…
自分を殺すことしか、何も考えてこなかった。
そうすることで、守れるんだって
信じて、疑わなかったんだ。
でも…
それが逆に、苦しませてしまった。
今はもう、気付かないまま戦ってた頃とは違う。
自分を殺そうと、戦い続ける必要なんてない。
ぶつけてくれていい。
泣きたい時、付き合ってくれたように…
寄り添い合って、築いた絆は
そんなに脆いものじゃない。
すぐ簡単に、消えるものじゃない。
『安心して、ぶつけていいんだよ』
そう、笑いかけてくる二人が
その態度が語っていた。
過去に、考えに、捉われなくていい。
そのまま頑張り続ければ、死んでしまう。
よしんば生きていたとしても、ノイローゼになってしまう。
だから余計に、そうしてくれたんだと気付いた。
だから、感謝を伝えたくてしょうがなくなった。
これからどうすればいいか。
それが明確に伝わってきたから。