第7章 出会い【ロード】
『聖、痕…?』
不思議と、その言葉が出てきた。
知らないのに、知っている。
不思議な感覚が、全身を駆け巡る。
と同時に…
「本当に、思い出せないの?
ずっと…待ってたんだよ?」
そう、涙を浮かべながら訴える姿に
がくん
何かが、乗り移るような感覚…
頭が、考えることをなくして……
主導権を、取られる感覚が走った。
恵土「……ロード」
どこかで、頭の奥底で聞こえた女の人の声。
おしとやかで、透明で…綺麗な……
歌を歌っていたのも、その女の人だった。
身体が勝手に動いて、その音を憶えていった。
ロード「ぱあ)思い出した?」
恵土「…」
ロード「ずっと…
ずぅっと待ってた」
愛おしそうに、微笑みかけながら歩いてきた。
この感じ…
知ってる…
ロード「僕、ずっと待ってたんだよ?(ぎゅう)
君が、帰ってくるのを」
恵土「…」
ロード「恵土だっけ…
そうじゃないよね。
トゥルー様」
恵土「!!」
その瞬間、一瞬で…
何かが変わった。
ぽおおおお
左手の甲が熱い、何かの模様が
光を、放ってる…
そうか、いつかラビが言ってたのは
これ、だったのか……
その思考を最後に…
私は、中で出ようとするもう一つの何かに
あらがうことができなくなった。
恵土「…ごめんね、ロード」
その次の瞬間、湧いて出たのは…
申し訳ないという想いと、抱擁だった。