第9章 関係
「葉菜さん!」
という早川くんの声で顔を上げた。
『待っててやれ』とは言われたものの、どこで待ってて良いのかがわからず、体育館の入り口にもたれかかっていた。
(どうしよう、どうしよう)
と、心の中で繰り返しながら…。
「着替えてく(る)っす‼」という彼にコクンと頷くと、タッタッタッとリズムよく走っていく。
「わざわざ来たって事はそうゆう事だろう?」と小堀の声が聞こえる。
「葉菜ちゃん、その気がないなら帰っちゃうでしょ?冷たいもん!」
可愛く私を否定してくる妹に顔をしかめるが、事実なので言い返せない。
「「認めてしまいなさい」」
同じ顔と、初恋相手に両頬を摘ままれて、顔を覗き込まれる。
揃ってクスクスと笑いだした2人は、
早川くんが走って行った方向へ歩き出した。