第5章 日常
「葉菜ちゃんヒドイ‼」
「最低っスね」
と私に対する罵声が飛ぶ中、
「中学のとき、そうゆうのが何回かあったんだよ。からかう奴がいてさ」
と小堀が私を庇った。
事実だが、やめて欲しい…。
先程の彼に「ごめん」と頭を下げれば、
「ちょっと待て、なんでわかるんだ?」と森山から質問があがる。
「何が?」
「俺等はあらかじめ知ってたから、早川が何を言ったかわかる。でも、葉菜はどうしてわかるんだ?普通、聞き取れないだろう」
言われている意味がわからなくて、今度はこちらがポカンとした。
「葉菜ちゃん、耳いいから」と答えたのは未菜だった。
「ドリブルの音とか、足音とか、誰のかわかるんだよ‼スゴいでしょ?」
我が事の様に自慢する妹。
「だから聞き取れるんだよ。ねー」
可愛く首を傾げる未菜に同意を求められて、
勢いで頷いてしまった。