第5章 日常
「先輩、%$#$&%&#さい!」
廊下のど真ん中で、
しかも大声で
懇切丁寧に頭を下げた彼に幾分か戸惑った。
運動部の終わりの時間だから、校舎内に人は居ないし、
周りにいるのはバスケ部の皆様なんだけど…。
「うるせーよ。ってか、早口だし、ラ行言えてねぇし、何言ってるかわかんねぇよ」
と笠松の蹴りが跳ぶ。
「ちょ…やり過ぎ…」と呟くと、
「本当に未菜さんにそっくりっスね」
と、森山以上に整った、造り物の様な顔に覗き込まれて、一歩後ずされば、
後ろでは小堀と未菜がニコニコ笑っている。
その隣では森山がニコニコを通り越してニヤニヤしている。
どいつもこいつも、感じ悪い…。
「えっ?何?彼は罰ゲームでもさせられてんの?」
たまらず、バスケ部一行に問いかけた。
皆がポカンと口を開けるなか、
「私、彼と接点ないし。いきなり名乗りもせずに『付き合って下さい』っておかしいじゃん‼何かの罰ゲームでしょ?」
と、問いかけた。