第5章 日常
理由はともかく、聞き取れているんだから問題はないだろう…。
先程の彼、早川くんは、
「お(れ)、本気っす。今度、(れ)んしゅう試合があ(る)ので見に来て欲しいです」
と、また深々と頭を下げた。
「…うん。わかった。見に行くね。頑張ってね」
「あ(り)がとうございます!お(れ)、がんば(り)ます!」
そう言ってニカっと笑うと、眼鏡の男の子と立ち去ってしまった。
「やかましいけど、いい奴だぞ」
小堀が私に話しかける。
小堀に誰かをおすすめされるのはやはり胸が痛い…。
「悪い子じゃないのは何となくわかるよ」
そう言うと、皆がニヤニヤと笑い出した。
この日から、静かだった私の日常が変わる。