生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第10章 ないものねだり(微*)
異質の者と忌み嫌われやすい能力者たちは、この学園に入ることで世間から守られていたのだ
学園内で力を発揮できない能力者たちは普通の人間と変わりはない
一般の生徒も多く入学するこの学園では、皆平等だった
2年前、学園にあの男が現れるまでは…
「あの男?って」
「この学園の現学園長…“天夜叉”の異名を持つ大男で」
「ドンキホーテ・ドフラミンゴ。その男の名前だ」
「!」
口にするのも嫌なのか、ローが忌々しく吐き捨てた名前に少しだけ聞き覚えがあった
『俺の本当の名前はドンキホーテ・ロシナンテ…この学園の副学園長と同じ名前なのさ』
偽名とピエロのような化粧で自分を偽っていると話してくれた、あの先生は自分の本名をそう告げたはず
『兄が…いや、この話はまたにしよう』
だとするとコラソンのいう兄とは、この学園の…学園長
「学園に現れたドフラミンゴも悪魔の実の能力者らしくて、突然、どういうわけか空中からこの学園を破壊しにかかった」
「なんのために」
「“能力者の自由のため”だと、」
「能力者の自由…」
「ドフラミンゴは、力を持つ者が世界の上に立つと考えている。したがって能力を持つ者は、普通の人間より優れているはずなのに力を封じられるのはおかしいってな」
いきなりの暴挙を止めようと、政府は必死で説得をした
そこでドフラミンゴが提示した条件は、自分を学園長に任命すること
そうすればこれ以上の破壊はしない、現状のままであることも黙認するという
しかし
『もしも能力を使っちまうヤツが出てきた場合、その時は…能力者の我慢の限界とみなしてもらおうか。そしてこの学園を世界を支配するのは、オレ達悪魔の実の能力者となる、それでもいいなァ?フッフッフッ…』
その後能力を使って政府の要人を無理やり頷かせ、その場で書面を交わしたそうだ
そして能力を使うことが不可能な学園で、意味のないしかし、絶対に犯してはならない校則が追加された
“能力の使用禁止”
現状の平穏に満足している能力者は多く、校則違反が起こることはまずなかった
だが少数ながらでも世の中に反骨心を持った能力者は政府の人間が教師として監視している
「コラさんは、そんなドフラミンゴの暴走を止めさせようと学園の方に潜入してたんだよ。同じような考えを持った生徒には、近づかせないように…俺が使っちまったら、全てが水の泡だけどな」