• テキストサイズ

生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第10章 ないものねだり(微*)


自嘲気味に笑うローに、セナはひどく心が痛んだ
自分の不注意のため、彼をここまで追い詰めてしまったから

そのせいで、この学園を危機に晒し更にはコラソンに多大な迷惑をかけたことになる
すべて悪いのは、自分だ

「自分が全部悪いって、思ってんじゃねェだろうな」

深い溜息を吐きながらローが静かに言うので、心を見透かされたのかと肩がピクリと反応してしまった

「チッ…貴様のせいだからな、ユースタス屋」
「そんな、キッドだけのせいじゃ…」
「…悪ィ」

苦々しく吐き捨てて睨みつけられれば、キッドはその言葉の真意が分かったのか素直に謝り頭をかいた

「こうなった原因じゃない、お前にこの話をしたことを咎めただけだ」
「私が聞いたから仕方ないじゃない」
「お前…ユースタス屋の肩を持つのか」
「だって親友だもん」

数分前に無理やり納得させた親友という立場を利用して、無理やり聞き出したようなものだ
それに、いずれは知ることになる。自分もこの学園の一般の生徒だ、コラソンもいつか話してくれると言っていた…ローだって時が来れば話すはずだったのだろう

ただそのタイミングが少しばかり狂って、今に早まっただけ

「私が悪くないって言ってくれるなら、キッドだけが悪くもないでしょう?」
「ハァ…」

そんなことは分かってる、言ってしまえばローは自分が一番悪いと思っているのだから

企みに気付けなかったのも、そのせいで彼女が傷付けてしまったことも
そして真実を話そうとしたのを止められなかったのも
すべては自分の甘さ

「誰も悪くない…でしょ?」

起きてしまったことは悔やんでも仕方ない
誰が悪いと責め立てても、何も変わらないのだ
しいて言うならみんなが悪い、反面誰も悪くないのではないか

色々な原因が重なって、事態を招いただけに過ぎないのだから

「悪いことなんて見つけようとしても堂々巡りしかできないんだもん」

あるようで、ないものを見つけようと足掻くより
確かにある事実だけを見つめて進むしかないのだ

「確かにその通りだ」
「いい事言うじゃねェか、さすが俺のおん」
「…俺の、なんだって?」
「…さっすが俺の親友…だよなァって」
「ねぇねぇ、本当は2人って仲良いよね?」

「「どこがだ!!」」

"ないものねだり"では何も生まれない
これから先を決めるのは、此処にある確かな意思だけ

/ 369ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp