生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
そうして意識がようやくまとまってきたところで、気が付けばあっという間に残りの問題は解けてしまっていた。静かに問題集を閉じて、コトリと置いたシャープペンが転がり落ちる音は同時に引かれた椅子の音にかき消される
「ちゃんと終わったのか」
「もうバッチリ。…お待たせしました」
本に落とされていたローの視線が、勢いよく抱きついたセナにゆっくりと向けられた
はっきりと頷く彼女を視界に捉えたところで、巻きつく腕を掴み引き寄せる
小柄な身体は簡単に腕の中に収まり、それだけのことでローは堪らなく愛おしさが込み上げてきた
それは同時にセナもたくましい腕の中で、込み上げる愛おしさに鼓動を早める
どちらともなくお互いの熱を鼓動を感じつつ、表情が確認できる程度の距離を置いた
「ふふ、ズルいなぁ」
「?何がだ」
「我慢、してくれてたんでしょ?」
見上げたローの表情がいつものクールな余裕など、微塵も無くしているのが分かる
何のことか分かるはずもないローが首を傾げれば、合わせて小首を傾げてみせた
先ほどまではセナを求める気持ちと、それ以上に思いやる気持ちとが綯交ぜになって…一見しては普段とは変わらない涼しげな表情を浮かべていたというのに
「お待たせ、しました」
「場所…分かって言ってんのか」
もう一度言葉を繰り返せば次の瞬間、視界に広がるのは図書室の天井とやはり余裕のないローの顔
それでもセナにとことん甘い彼は、傷付けないように理性を保とうとしてくれる
「私も、我慢してるんだよ?」
自分だけが知っている、自分だけにこんなにも余裕を無くしてくれる彼が愛おしくて
目の前の顔をそっと両手で包み込み、顎先に軽く口付ける。たくわえられた髭がチクチクと唇を擽った
しかし次の瞬間には、そんな余韻など忘れてしまうほど甘く激しい口付けが降ってくる
ローの薄く柔らかな唇が何度も食むように噛み付いて、舌でなぞられれば従順に唇を開いてしまう
「ん、ふぅ…ッ」
「っハァ…誘ったのはセナだろ?」
一旦身体を起こし制服の襟元を緩めつつ、ローはそう言うと妖しく笑みを浮かべセナを見下ろした
距離を取られたことについ、名残惜しげな表情をしていたセナはその言葉に思わず視線を逸らす
「覚悟しろ、我慢してやってた俺を煽ったんだからな?」