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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第10章 ないものねだり(微*)


「チッ…」

ローが思わず舌打ちを吐く
コンクリートの砂煙の中から、ゆらりと人影が立ち上がった
全身の至るところから血を流すキッドが、忌々しげに血唾を吐き捨てると口を開く

「ッぶねェなァ…!何しやがる、能力の使用は校則違反だろォが」
「校則なんざ関係ねェ」

キッドが何を言っているのか分からず、ローの腕の中でただひたすら呆然としてしまう
“能力”とはなんだろう、先ほどの人間離れした出来事が“ローの能力”だというのか

読めない話に、一人頭を悩ませるセナだが2人の話はどんどん進んでいく

「生徒会長直々に、学園で“禁忌”ともいわれる校則違反とはなァ…聞いてあきれるぜェ」
「禁忌の校則…なんなの、それ」

ローはそんな重大な校則違反を犯したのだろうか、自分のために


「お前何も知らねェのか…?この学園のこと」
「え…?」
「ユースタス屋、黙ってろ」

怒気をはらんだローの声が、続けて口を開こうとしたキッドを制する
この学園の何かを、ローは隠そうとしているようだ

しかしその顔は何故か暗い影が落ちている
それは初めて会った時の、不可思議なメイクを施した教師と同じような悲しい顔

「コイツだけ知らねェのは可哀想だろ?じゃあテメェが教えてやれよ、トラファルガー会長サマ」
「知らないのなら、あえて知ることはねェ」
「ひでェ男だなァ、テメェの女に隠し事かよ」

隠そうとするには理由があるのだろうが、教えてもらえないということは純粋に寂しいと思ってしまう
いずれは教えてくれるのかもしれないが、ならばその時が遅いか早いかの問題だけだ

「ロー、」
「知らねェなら、それでいい」
「…じゃあ、いい。キッド教えてくれる?」

ここには真実を知る人物がもう一人いる
逆鱗に触れかねないが、どうしても知らなきゃいけない気がした
しかし予想通りの答えが返ってくる

「オレの女になるってなら考えてやるよ」
「…ならない」
「じゃァ教えられねェな「どうしてそんなに私に執着するの?ローと付き合ってるから?」

思わず聞き返していた、ずっと気になっていたこと
何故ここまで自分に執着するのか

「別に…素直に、お前が欲しいだけだ」
「今日初めて会っただけなのに?」

ローも自分も、一昨日会ったばかりなので強くは言えないけど
そんなに魅力があるわけもない、平凡な自分に

「お前は、」
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