生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第10章 ないものねだり(微*)
「見りゃァ分かんだろォが…テメェの女って証明したんだよ」
「誰が…誰の女だと…?!」
ぐぐっと胸ぐらを掴む手に容赦なく力を込める
「ロー!落ち着いてよ!!」
「うるせェ、これが落ち着いてられ…ッ」
「?どうした、の…」
止めに割って入ろうとしたセナの顔を、間近で見てローは息を飲む
控えめで愛らしいその唇に…似合わない真っ赤な口紅が少しだけ色付いていたから
「…ッユースタス屋!絶対に貴様は許さねェ…!!」
「へへっ、許してもらう気もねェな…来いよトラファルガー」
キッドの分かりやすい挑発にも気付けないほど、ローは頭に血が昇りきっていた
今にも殴り合いが始まりそうな様子は喧嘩などと生半可な表現は許されない、これは"戦い"だ
「ローお願いだから落ち着いてよ、キッドも挑発しないで」
「"キッド"…?人が必死で探している間、いつの間にそんな仲良くなったんだ」
探してくれていた、その事実にセナは胸をときめかせた
けれど今はそんな場合ではない
「えっと、」
「他人の痕を付けられて、キスされたのを隠しもしねェ…俺を嫌いなんじゃねェのか。俺のことを、殺したいのかよ…」
「なん、で」
そんな事を言うのかと言いかけてハッと気付く、口元に手を当てると指先で少しだけ唇を拭った。指先に付いた赤色にキッドの口紅が移っていたことを理解する
これを見て、ローは激昂したのか…苦しそうにシャツの胸元をぐしゃりと握りこんで俯いてしまう
「そんなわけない…私は、ローのことが」
「おーいセナ、残りの授業出ねェと単位やれねーぞー」
「トラファルガーとユースタスもな」
否定しようと口を開いたところで、エースとサボに阻まれてしまった
単位が貰えないのは困る、あと少しで4限も終わるので…続きはお昼のときに話せばいいと思ったのだが
「あとでちゃんと話すから、お昼来てくれるでしょ」
「…ああ」
「じゃあ待ってる。授業戻ろ?」
この判断が甘かったとセナが後悔するのはもう少し後の話
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「やっと休憩だー!」
「アンタ殆ど出てないじゃない」
「うっ」
喜びの声を上げながら、制服に着替えていると隣のナミが鋭いツッコミを入れてくる
思わず言葉に詰まってしまいそうになった
「あれはキッドが勝手に…」
「ちょっとなんで呼び捨てになってんのよ?!」