生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第10章 ないものねだり(微*)
いきなりキスされたことに反論する間も無く
今度は命令されて、正直困惑してしまう
ローも非常に勝手な男だが、キッドも大概である
「あと、敬語ナシにしろ。先輩も付けんじゃねェよ」
そんな2人は実によく似ているようだ…言えばどちらも全力で否定するだろうけど
「なんで命令されなきゃいけないんですか」
「お前がオレの女になるからなァ」
「ならないって何度も…っ!」
あまりにも身勝手な物言いばかりされるので、反論してやろうとした時
目の前にあったキッドの顔が迫ってきたかと思えば、視界の端に消える
刹那、首に吐息が触れたと同時にピリッと鋭い痛みが走った
「…中々綺麗に付いたなァ」
「何してくれてんの!」
「テメェの女にマーキングして何が悪ィんだァ?」
「だからあなたの女じゃない!」
この男…話が全然通じない、思わず頭を抱えてしまう
「今はこの辺にしといてやる。屋上のハナシ、忘れんなよ?」
「行かないってば…」
「いいやァ?お前は来るだろうよォ…来るしかなくなるからなァ」
自信満々に笑うキッドに、問い返したり反論する気力も失せてしまう
目の前の男には何を言っても無駄なのだ
『お昼になっても、私が行かなければ良い話よね…』
「よォし、戻るゼセナ!掴まってなァ!」
「きゃあっ?!」
心の中で決意を固めている隙に、颯爽と抱き上げられ咄嗟に目の前の首に腕を回す
いやいやいや、なんで抱き上げられたのか
「歩けます!…歩けるから降ろしてキッド!」
「お前の足に合わせてたら授業終わんだろォが、大人しく運ばれとけ」
「だからって…ひっ!」
「黙ってねェと、舌噛むぜ」
急激に加速されて、またも首にしがみつく羽目になる
風を切って、元来た道を辿るとみんなは各々授業に戻っているようだった
しかしキッドと、その腕に抱えられたセナの姿をいち早く目にしたローはカッと全身の血液が沸騰する感覚に見舞われ一目散に駆け寄る
「わざわざお出迎えかよ、トラファルガー」
セナを地面に降ろすと、キッドは挑発するように声を掛けた
しかしローはそれに応えることなく、セナを凝視している
セナの首筋に、見覚えのない痣のような…それが何を意味するのか理解した途端キッドの胸ぐらを掴んでいた
「威勢がいいねェ」
「貴様…セナに何しやがった…!」