生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第10章 ないものねだり(微*)
どうにか足を止めさせようと叫んだけど、聞こえていないのかドンドンみんなから離れていく
少しして学園の一番奥にある部室棟の裏に着くと、地面に降ろされる
薄暗い場所でキッドの表情がよく見えないため不安になり
「キッド先輩…?」
着いてから一言も発さないキッドを不審に思って声を掛ける
瞬間こちらに腕が伸びてきて、壁に追い込まれてしまった
(これが俗にいう"壁ドン"…?)
とか冷静に判断している場合ではない
ローに言われていたことを思い出した
『とりあえず、ユースタス屋には近付くな。近付いてきたら全力で逃げろ』
逃げるどころか捕まってしまった上に、2人きりだしなんなら追い詰められてる
非常にマズイ気がして、どうやってこの状況を打破しようかと思考を巡らせた
「セナ…」
「は、はいっ」
「なァに青い顔してやがる。別にとって食いやァしねェよ」
ようやく目が慣れてきたため、キッドが笑みを浮かべたのが分かる
こんな人気のない場所で、この体勢で…青くならない方が難しくないか
「あのっ、戻りませんか…」
「ハァ?今来たところだぜ?」
「まだ授業中ですし、みんなも心配して「つーか何で敬語なんだよ」はい?」
まだ話し終わっていないところで問いかけられて、聞き返してしまった
「だから、何で敬語使ってんだ」
「いや先輩ですし…」
「今朝は普通に喋ってたじゃねェか」
「そうでしたっけ?」
そういえばそうだったかもしれない…
しかしローといいキッドといい、なぜ後輩に呼び捨てとタメ口を求めるのだろう
普通に考えて、むしろ怒る場面ではないか
「トラファルガーの野郎は呼び捨てて普通に話してんだろ」
「ローとはお付き合いしてるんで…」
キッドの顔が一瞬だが歪んだ気がした
そしてイラついたように舌打ちをしたあと、突然唇を重ねてくる
いきなりそう来るとは思っていなくて、避けられなかった
「んーっ、ん、ぅ!!」
胸を突き放そうとした腕を取られて、簡単に壁に縫い付けられる
更に抗議に口を開こうとしたせいで、舌の侵入を許してしまった
熱い舌が生き物のように口内を蹂躙してきて肌が粟立つ
『ロー…ッ』
心の中で恋人の名を叫ぶ、いつのまにか瞳には涙が溜まっていた
「、ハ…ァ…」
「は、っぅ…」
解放された唇から、お互い吐息が漏れる
「…昼メシ、屋上に来い。1人でな」