生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第8章 楽しい学校生活のススメ
「で、白石ってのはどいつだ?」
教室に入って開口一番呼び出したわりに、顔を把握していないらしい
白髪の大柄な先生。よく見ると額の辺りに傷がある…昨日の入学式で、よく怒っていた先生だ
「私です…」
恐る恐る手を挙げてみれば、こちらを見て目を細められる
「…昨日の新入生か」
「えーと、多分そうです」
思い出している状況が同じとは限らない、ごく曖昧に答えてしまった
「入学早々、遅刻とは良いご身分だな。生徒会」
「あっ「俺説明したじゃないっすか!セナは体調崩したから遅れるって!!」
「ああ…そうだったな。悪かった。全員席つけ、HR始めるぞ」
あまりの言い草に、思わず反論しかけたところシャチが口を挟む
どうやらきちんと誤魔化していてくれたらしい
前の席に座る幼馴染の背中に、小さな声で呼びかけた
「シャチ、ありがと」
「別にいーって、礼なんか」
「お礼ぐらい言わせてよ」
「会長にもそれくらい素直だったらいいのにな」
傷口に塩を塗りこむような言葉に、ズキズキと胸が痛む気がした
後ろを向いているシャチが、何を考えて今そんなことを言ったのか分からない
そして、どう返事をしたらいいのかも…
「ま、会長も会長だけどなー」
「それってどういう」
「HR終了!起立、礼」
白髪の先生が出ていくと、途端に騒めきだす教室内
荷物を詰めていると、ナミに声を掛けられる
「セナってば早速呼び出し食らうとか、一体何したの?」
「そういえば、」
なんで呼び出されたんだろう
遅刻の理由はさっきシャチが伝えてくれたわけだし
「分かんない…」
「ちょっと、しっかりしなさいよ」
「そもそも私あの先生の名前も知らない…」
今朝のHRでは自己紹介があったのだろうが、あいにく遅刻したために聞けるはずもなく
高校生活初っ端からツイてない、思わずため息が出てしまうほどに
「あの担任はスモーカーって名前、覚えた?」
「覚えた。ありがとう、ナミ」
「どういたしまして。あとお昼の件だけど…」
「あっ私そろそろ行かなくちゃ!ナミまた明日ね!シャチ行こう?」
「えっ、おい!」
隣で話を聞いていたシャチの腕を引いて、慌てて教室を出る
ナミには申し訳ないけど、今ローのことを考えたら…私きっと
「はぁ…逃げられたわね。取り敢えずルフィとトラ男を問い詰めるか」