生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
相変わらずプライドの高い男だと、内心改めて苦笑を浮かべるしかなかった
そして思う。本当に素直じゃない
「ま、素直になったローなんか気持ち悪いけどな」
「だから何の話だ。俺を巻き込むな」
「初めからテメェの話だっつーの!」
サンジが少し高い位置の肩を叩いて笑い飛ばしてみせれば、ローは嫌そうな顔をしてみせた
「俺の話だと?」
「そうだよ。俺がセナちゃんと話すことなんて、テメェのことくらいしか話題がないに決まってる」
「いや…料理の話だとか、あるだろ」
ローがことの外不満げな口ぶりでボソリと呟けば、サンジは一瞬目を丸くさせ
「プッ…お前、そんなの気にしてたのか」
堪えきれず吹き出した。何事にも自信と余裕の塊のような男が…共通の話題がないことを気にしていたとは
きっとセナも想像がついていないだろう
「仕方ねェ…そんなローには、ほら」
「?なんだ」
「セナちゃんと2人きりになれるシチュエーションを用意してやったから。思う存分満喫してこい」
2人で話し込んでいる間に、いつの間にか仲間たちは帰ってしまっていたようだ
そして何故か、本来施錠のために残っているはずのロビンもいない
ただ1人残っているのは、窓際の席で黙々と残りの1ページを解き進めているセナの姿
状況を確認したローの肩を、サンジはポンポンと軽く叩いて図書室を出て行く
ローが振り返った時には、扉が閉まる寸前ヒラヒラと手を振るサンジの後ろ姿だけが一瞬見えただけだった
「チッ…黒足屋のやつ、余計なことを」
勝手に借りを作られたようで、ローは思わず閉ざした扉に向かって舌打ちを漏らす
確かに先日の騒動以降、落ち着いてセナと2人きりになれることは無かった
けれどそれも、試験が終わる今週末までの話だ
「ロー?」
「!」
扉を睨みつけたまま立ち尽くすローに気付いたセナが、不思議そうに名を呼ぶ
咄嗟に言葉を返せなかったローが、静かに振り返るとセナを見据えた
「帰らねェのか」
「あともう少しで、ローに教えてもらった範囲全部終わるんだよね。先に帰ってもいいよ?」
「帰るわけねェだろ」
申し訳なさげな提案を却下し、ローは隣の椅子を引くと腰掛ける
相変わらず真面目で、鈍感だ。この状況が仲間たちに仕組まれたなどと、微塵も思っていないのだろう