生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
「チッ、なんで俺だけ…」
エースが足を止めたきっかけとなった、数分前の全員分の大爆笑もかなりの騒々しさだったはずだ
不満げにローが呟くと、セナは困ったように眉を下げる
「今日のローは、先生でしょ?だから、ちゃんとしよ?」
肩を抱き寄せられたまま、視線を向ければ何故かより険しい顔をしたローと目が合った
どうしたのかと首を傾げつつ言葉を待っていると、目の前の彼は盛大に溜息を吐く
「ハァ。終わったら、覚悟しろよ」
「なんのこと?何が終わったら??」
「…分からないならいい。続きやるぞ」
「や、気になるんだけど?あっ待ってよ、ロー!」
抱き寄せていた肩を解放し、さっさと自分の席に戻るローを慌ててセナが追いかけ同じく席に戻る
そんな様子を見ていた仲間たちは、相変わらずだと内心で溜息を吐いた
けれど再び肩を並べて、机に向かう2人を結局見守るしかないのも全員分かっている
2人の問題は、2人にしか解決できない
「あと1ページでどうにか範囲終わる…長かった」
「セナちゃんお疲れ様。よく耐えたな」
「サンジさん…!ありがとうございます、もう…もう本当に」
本格的に勉強を教え始めたローは、確かに教え方は分かりやすいし細かく丁寧に教えてくれた
けれど噂通りの厳しさも垣間見えることがあり、そうなると本気で逃げ出したくなったのも事実…本当に何度そう思ったことか
労わるように肩を叩き苦笑を浮かべたサンジが、コッソリとセナの耳元に顔を寄せる
「あれは鬼だよなァ」
「はい…ローの後ろに鬼が見えました」
「寧ろローが鬼に見えてくるだろ?」
「最後の方は…ちょっとだけ」
「何をコソコソ話している」
顔を寄せたサンジを引き離すように、間に割り入ったローが威嚇するように睨みをきかせた
不機嫌そうに縦じわを刻む眉間が、いかに彼の怒りを…というよりは、嫉妬を顕にしている
「ローも頑張ったよな。本当はセナちゃんのこと甘やかしたかったんだろ?」
「言ったはずだ、容赦しねェと。セナだけ例外にする理由もねェだろ。そもそもコイツが発端だろうが」
口早に呆れた仕草をしたローがまくし立てた
しかし、サンジは分かっている。微かに涙ぐんだセナを見てローが何度も躊躇っていたことを
「ハイハイ。そういうことにしといてやるよ」