生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
ロビンがセナの後ろで、耳を赤く染めたローを見遣ると目を細めた
そしてナミやウソップが茶々を入れ始めれば、図書室とは思えぬ笑い声が室内に響き渡る
「もーそんなに笑わないでよ!」
「なんだァ?えらく楽しそうじゃねェか」
「エース先生!」
笑い声を聞きつけたのか、ひょっこりと図書室の入り口から顔を覗かせたのはルフィの兄であり体育教師のエースだった
いつもなら仲間の輪に入り、色々と雑談を楽しむのだが何故か今日は一向に室内へ入ろうとしない
「どうかしたんですか?」
「いや…俺ここ、出禁なんだよ」
「えっ、なんで?!」
扉から覗かせた顔が、気まずげに苦笑いを浮かべた
何故そんな事になったのか、思わずロビンを見上げるとクスリと微苦笑を返される
「彼は炎だから」
「炎…?」
「セナ知らねェのか?エースはメラメラの実を食って炎が操れるんだ!すげーかっけェぞ!!」
ルフィが尊敬と誇りに瞳を輝かせて端的にエースの持つ能力を説明した
しかしイマイチぴんとこないセナは、やはり首を傾げてエースに視線を戻す
「まァ…ここなら、」
「わぁ…!」
ガシガシとハットの上から頭をかいて、きょろきょろと辺りを見回すと人差し指を立てた
するとその指先に小さな炎が姿を現し、あっという間に大きく燃え上がる
「すごいですね!」
「ってなわけで、貴重な文献もある図書室には入れねェんだわ」
「なるほど…」
「ちなみに貴女のクラス担任であるスモーカーも、出入り禁止よ」
彼の場合モクモクの実の能力を抜きにしても、重度のヘビースモーカーであるため本も室内も煙たくなってしまうかららしい
「悪魔の実って、色々あるんだね…」
ローのように自在に人体改造ができるようになる、ルフィのようにゴム人間になることもあればエースやスモーカーのように炎や煙など自然を味方にすることもできる
たった一つの果実で、食べた者の人生は大きく変わってしまうのだ
「この能力を善ととるか悪ととるか、それは食った人間次第だからな」
思い悩むセナに屈託のない笑みを浮かべて、エースが声をかけた
悪魔の実を食べたことが必ずしも悪い結果となるばかりではないのだと
「こいつらを見てみろ、食ったことを後悔するより…寧ろ楽しんでる。ルフィなんか特にな。トラファルガーだって、食った理由があんだろ?」