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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第21章 教えてセンセイ(*)



「?ロー?」
「他の奴に聞きたいなら、そうすりゃいいだろ」

表情が窺えないまま、更に深く帽子が下げられてしまう。けれどすぐ隣にいるのに聞き取りにくかったが、その声音が明らかに意気消沈しているのはよく分かった

そしてようやく、ローの言葉の意味やナミの態度を理解する

「簡単すぎること、聞いたら悪いかなって…」

なんせ学園一の頭脳の持ち主であるローに、一年生のそれも基礎中の基礎を聞くことに少しだけ気が引けた

「その為の集まりなんじゃねェのか」
「そうなんだけど。…ごめん、なさい」

お互いに口数が多い方ではない。しかしどちらにも悪気があるわけではないので、決してどちらが悪いというわけでもなかった

「お前に期待した俺がバカだったな」
「ロー…?」

「分かる分からない以前に、全部教えりゃ済む問題だ。ほら、さっさとやるぞ」

ローが溜息とともに吐き出したセリフに、シュンと俯いてしまった栗色の髪をがしりと掴んでわしゃわしゃと撫ぜ回す

「うんっ!」
「時間がねェんだ、覚悟しろよ?」
「頑張る!っていうか、いつまで撫でてるの!?髪ぐちゃぐちゃなんだけど」

未だわしゃわしゃと髪を撫でたままのローに、セナは流石に抗議の声を上げると一瞬鼻で笑い撫でる手が離れていった
そして先ほどとは打って変わった優しい手つきが触れる。乱れた髪を手櫛で直してくれたらしい

「これでチャラだろ。怒るなよ」
「怒ってないけど…なんか、ズルい」
「?なにがだ」
「…分かんない!さっ、勉強勉強!」

話を無理矢理終わらせて、再び教科書を開きローとの距離を詰める
首を傾げていたローも、特にそれ以上気にすることなく開かれた教科書に視線を落とした

セナはひとまず基礎を一から解き進め、手が止まったところでローがつまづいている部分を教えてゆく


セナが順調に進めている間には他の仲間たちの質問にも答え、教えてくれる

もちろん、誰にでも丁寧に分かるまで、だ

昨年留年予備軍として教えてもらっていた面々は、鬼か悪魔かと思えていたローが、今はそんな風に思えなかった

『『セナ効果、すげェ』』

そんな風に感心しながら、心の中でそっと彼女に手を合わせていたりすることを誰も知る由はない


そうしてしらみつぶしに苦手箇所を無くせば、試験前日には皆ほぼ範囲の基礎は網羅できた
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