生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
「無駄口叩いてねェで、さっさと問題解け」
「ふぁーい」
間に挟まれたローが、仲良さげにセナと話し込むベポの頬を掴むと思い切り引っ張った
その表情は仏頂面で、至って不機嫌そうに見える
「これでも人っぽい?」
「うん、だってこれ照れ隠しだもn、ってイタイイタイ!」
「セナ、手を止めてる暇ねェだろうが。分からねェなら聞けよ」
毛皮を引っ張る手に捻りを加えれば、痛みに涙目のベポがジタバタと暴れ出した
けれどローは気にすることなく、反対側のセナに改めて声をかける
「ありがと、今のところ大丈夫」
目を通していた教科書から視線を上げ、にこりと笑うとすぐさま問題集に視線を落とした
スラスラとシャーペンを走らせ、ふと手が止まる
「…ねぇ、ナミ。これどうやって解くの?」
「どれどれ?あーコレね、これは…」
「……」
少し考え込んだのち、セナは教科書を手にすると向かいに座るナミに声をかけた
試験範囲はもちろん既に習った部分のため、ナミが聞かれたことに素直に答えようと身を乗り出す
そして口を開きかけたところで、痛いくらいに視線を感じることに気付いた
あえてそちらを向かなくても分かる視線の主に、内心やれやれと短い溜息を吐く
「ごめん、私もちょっと忘れてるみたい。トラ男に聞いてみれば?」
「んー…じゃあシャチ「トラ男に、聞いてみれば?」
少し離れたシャチに聞きに行こうとするセナの肩を掴むと、ナミはその場に留めて再度同じ言葉を繰り返した
先ほどから刺さる視線の主がローだというのは分かりきっている
少し前ベポとのやり取りの最後に、ローが敢えてセナに言った言葉は暗に自分を頼れという意味だった
もちろん仲間たちはその言葉の意味に気付いている
気付かないのはいつだってセナ本人だけで、だからといってローはわざわざ気付かせるほどの言葉を発さない
それは言わなくても気付いて欲しいなどという面倒な心理ではなく
ただ単にその言葉で彼女を自分に縛り付けることは、どうしても躊躇いがあるからだった
「シャチくん、説明下手くそでしょ?」
「ナミさん失礼!…確かに俺も分からんけど」
「えー…じゃあ、ロー。教えてくれる?」
席に戻り、隣の彼に視線を向ける
しかし何故か先ほどより目深に被られた帽子のせいで、いまいち表情が窺えない