生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
きっとそれが、何よりローの力になる
そうして彼をよりよい方向へと導いてくれるはずだから
「ヤベッ、授業始まってるんだった!行こう」
「もう残りの授業20分もないですよ!」
「何ッ?!まァ…なんとかなるだろ。っと、忘れるところだった…はいこれ」
ヒラリと胸ポケットに畳んで入れておいたプリントをセナに手渡す。このクラスの担任であるスモーカーに頼まれていたモノ、彼もまたセナに過保護な内の1人だ
「あっ、試験範囲!わざわざありがとうございます!」
「いやいや、こっちが巻き込んじまってるから。こんなもんなら、お安い御用さ」
「?コラソン先生は何も悪くないじゃないですか?」
「まァ、身内だからな…ほら、セナちゃんは後ろから」
セナの背中を押して後ろ側の扉から入ったのを見届けると、自分も教室に入る。入ったところで、いつものように大コケをかましてしまった
そんないつものことで、クラスが爆笑の渦に巻き込まれる。もちろん同時に席に着いたセナも、笑っていた
それでいい、ローとセナをもう分かつことのないように。あの時幼い2人を守れなかった…だから今度こそは、絶対に守りたい。そのために犠牲になるのは自分だけで十分だ
「イテテ…授業始めるぞ、教科書開けー」
兄の暴走を止めるのは、弟の務めだからな
***
「セナ!ナミ!ついでにシャチ!!」
「あれ、ルフィ?」
「誰がついでだ!麦わらコンニャロ!!」
帰りのホームルームが終わり、帰り支度をしていると廊下の窓から身を乗り出したルフィに呼びかけられる
鞄を持って、側に駆け寄った
「どうしたの?」
「風紀委員室ってどこにあんだ?」
「え?ゾロが知ってるって言ってたよ?」
昼休みのとき、2年組ではゾロが場所を知っているというので詳しく説明はしていない
「ちょっとゾロ、アンタまた自信満々に言い切ったんでしょ」
「場所が変わったんじゃねェのか?」
「や…場所は変わってない、かな」
「この男の方向感覚はアテにならねェんだよ、セナちゃん」
窓の下にもたれ掛かっていたゾロが、くありと欠伸をしながら不服そうな表情で姿を現わす
彼と共に風紀委員室を探して、この広い学園内を歩き回ったらしいサンジはげんなりと肩を落とした
「ま、みんなで行けばいいじゃねェか!」