生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
「じゃあみんな放課後ね?風紀委員室に集合だから!キッド、いいよね?」
「おう、キラーにも許可は取ってある」
風紀委員長であるキッドと、顧問であるキラーが許可を出せば誰も反対する者などいないだろう
「そもそも、アイツらあんまり来ねェんだよな」
この広すぎる学園の風紀委員ともなると、かなりの人数を要した
それら全員が入れるとなると、相当広く作られているのだが…大概風紀委員室に居るのはキッドとキラーのみ
「それは…」
「あ?ンだよ」
何かを言いかけて言葉を濁したセナを、怪訝そうにキッドが見下ろす
その様子は、一見すると脅されているような光景に見える
キッドは見た目と話し方の威圧感が強過ぎて、近寄りがたい存在となっていた
大体そんなキッドと一緒に居るキラーはいつもマスクを被っていて、表情が一切読めない。喋り方はキッドと比べると柔和な方かもしれないが…やはり威圧感は拭えない
そんな2人が堂々と鎮座している教室に、誰が軽々しく足を踏み込めるだろうか
セナにとって、2人は恐怖の対象ではないのだが…周りの生徒たちの気持ちも、よく分かる
「悪い人たちじゃないのになぁ」
特にキッドは、もう少しだけ優しく接すればみんな頼ってきそうなものだ
密かに憧れている生徒が沢山居ることも、彼のそばに居るようになって分かることだった
「何ぼやいてんだ」
キッドのことで、思いのほか考え込んでいればローに声をかけられて意識が戻る
難しい顔をした彼がこちらを見下ろしているのを、無言で見上げていれば更に眉間に縦皺が刻まれてしまった
「何を考えている?」
「ローも、もう少し優しくしてあげればいいのに」
「はァ??」
先ほどまでローが他の生徒を気にかけていたことに嫉妬していたセナは何処へやら
脈絡もない彼女の言葉に、ローも…それより前から聞いていたキッドも大きく首を傾げた
「いいから戻ってこい、セナ」
「え、何処にも行ってないけど?」
「お前の頭ン中はどうなってんだ」
ローがこめかみを揉み、キッドは天井仰ぎ見る
「なんなの2人とも」
「「それはこっちのセリフだ」」
普段犬猿の中である2人は、セナのこととなると意見が一致することが多い
2人分の思考を合わせても、彼女の思考には追いつけないのだが
「お前ら!なんでまだ居るんだ?!」