生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
「なっ笑っ…、なんで笑うの!」
笑われた気配にセナはぐりんっと顔を向け、鼻と鼻がつきそうな距離でローを軽く睨みあげる
「ローには私だけじゃないって、そんなの分かってるよ…ローは生徒会長なんだから」
睨みあげていたはずの瞳が、今度は憂いを帯びて伏せられた
相変わらずコロコロと感情の分かりやすいセナに、ローは内心で嘆息する
「セナ」
「なに…」
「こっち見ろ」
「いひゃ…ッのびる!」
呼びかけたのに視線を落としたまま言葉だけを返して済まそうとする態度を、咎めるように柔らかな頰に指を滑らせて軽く抓ると引っ張った
実際そんなに強く力は込もっていないのだが、薄っすらと涙を浮かべた瞳が再びローを見上げ捉える
「勝手に1人で不安になってんじゃねェ。お前だけだと、何度言わせりゃ気が済む」
「うー…そう、だけど」
「俺が生徒会長をしていることで、お前が俺を信用できねェなら。生徒会長なんざいつでも辞めてやる」
強く望んでなったわけではない立場だ。例え辞めることになったとしても、なんの未練も後腐れもローにはない
「それはダメ!絶対!!」
けれどセナは生徒からの信頼も厚いローが、生徒会長という立場を去ることに反対した
それは決して自分のせいで辞めると言われたからではなく
「みんながローを選んでくれたんでしょう?その期待に応えて生徒会長になったローは、みんなの期待のためにやり遂げなきゃ。ローは中途半端なのが嫌いじゃなかった?」
ローはやはり、内心だが改めて嘆息を漏らした
不安なセナのためにと、彼女のことだけを考えて行動をしてやりたいと常々思うのに
それに歯止めをかけるのは、いつだってセナ自身だ
自分の不安など二の次で、セナの1番は常に誰でもない他人だった
そうして、その1番の中には勿論ローも含まれてはいる
だから周りのことも、ローのことも考えた結果の反対なのだ
「…仕方ねェな」
「え?ッいたっ!!」
頰に添えたままだった手を素早く額の前に移動させて、今度はほんの少し力を込めて弾いた
突然デコピンをお見舞いされたセナは訳がわからないといった様子で目を丸くして、額を押さえる
「コイツらにも勉強教えればいいんだろ、言っておくが容赦しねェからな」
「ありがとう、ロー!みんな、良かったね」