生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
シャチは唐揚げを頬張りながら、話題の中心であるにも関わらず我関せずと黙々食べ進めているローを見遣ると首を傾げた
一部の力を持つ人間が扱うことのできる覇気のうち、見聞色の覇気を使えば相手の行動を先読みすることが可能であったりする
「偶然に決まってんだろ。わざわざンなことに覇気使うか」
「ですよねェ〜」
「でもそれって、凄く素敵なことだと思います!」
「ビビちゃん?」
「だって、会おうと思っていないのに何度も会えるなんて…それって運命だと思うから」
セナを挟んでローの反対側に座っていたビビが、興奮気味に身を乗り出し熱く語りだした
いつの時代も、運命や絆だというものに女子は弱いらしい
「そうよねぇ、分かるわ。ビビの気持ち」
「ですよね、ナミさん!」
「私もセナちゃんとトラファルガー先輩のこと、すっごく羨ましいって思う」
周りで聞いていたナミとカヤまでもが、うんうんと深く頷き口々に同意をする
そんな友人たちの盛り上がりに、セナは1人気恥ずかしさから微苦笑を浮かべるしかできなかった
当たり前に隣で肩を並べたもう1人の話題の当事者は、まったく気にした様子もなくいつも通りな様子
憮然とした表情のローを見つめていると、チラリと横目に此方へ向けられた視線と交わる
「どうした」
「なんか、みんなで盛り上がっちゃった」
「そういや、クラスでも女どもは何かとこういう話題で盛り上がってるな」
「そう…なの」
ローがセナ以外の女子生徒の話をするのは珍しい。チクリ、胸の奥がほんの一瞬痛んだ気がして思わず胸元に手を当てた
そして彼は自分以外の女子生徒に興味はない、勝手にそう思い込んでいた自分が恥ずかしい
『ローは、生徒会長なんだから』
生徒の上に立つ者として周りをよく見ているのは当たり前だ。そうして生徒のことを理解し、さらには学園一の学力を持っているローは全校生徒の憧れの存在
対して特別秀でた才能も頭脳も容姿なく、平均平凡的なセナ
それぞれ歩く道は本来なら交わることがないのかもしれない。だからこそ、運命的なのだろうと思う
「セナ?」
呼びかけたセナは深く考え込んでいるのか、遠くを見つめたまま此方の声も届いていないようで
脆く、今にも儚く消えてしまいそうな雰囲気の彼女にそっと触れる
「、?ロー?」