生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
「なんなんだ、アイツ」
ウソップを見送ったキッドは腕章を外しながら、呆れ気味に肩を竦める
「キッドが怖すぎたんじゃない?」
「うるせェな。お前ぐらいだ、俺を怖がらねェのは」
「何も怖くないのにね?キッドは」
教科担任がまだ来ないのを良いことに、誰も居なくなった廊下で呑気に喋りながらセナは不思議そうに首を傾げてキッドにそう言った
「…さっさと教室戻れよ。単位もらえなくても知らねェぜ」
「それを言うならキッドだって!もう絶対間に合わないでしょ」
「俺はいいんだよ。ほっとけ」
ムキになるセナの頭を一度ポスンと撫で押さえ、踵を返して自身の教室へ向かう廊下を歩きだした
背を向けたキッドは気だるげな様子をみせるが、実はかなり機嫌が良かったりする
「じゃあな。また、昼に」
しかしそれを悟られまいとキッドは振り返ることはなく、ヒラヒラと手を振って階段の角を曲がり姿を消した
それと同時に次の教科担任の声が聞こえたため、セナは慌てて教室に戻りどうにか事なきを得る
***
「この学園の先生って、いい人多いよね」
昼休憩の時間、いつものようにサンジお手製の重箱弁当を取り囲みながらセナはプリントを片手に箸を進めていた
午前中にあった4教科全ての担任それぞれが、出題範囲の解説をまとめたプリントをこっそり手渡してくれたのだ
「それって白猟が口添えしてくれたんだろ?だからじゃねェの?」
「なんでペンギンがその事知ってるの」
「情報源はシャチ。まぁ大体お前が朝職員室に呼ばれた時点で予想ついたけどね」
相変わらず目元まで目深に被った特徴的な帽子のお陰で表情の読めないペンギンは、もぐもぐとおにぎりを頬張りながら少し離れた位置の女子の会話に割り込む
「確かにこの学園のセナと関わりのある教師陣は、みんなセナに甘いんだよなァ」
「何言ってんだウソップ。セナちゃんは天使だから、当たり前だろうが」
「んー?ただ単にトラ男の溺愛っぷりが移ってるだけだろ?」
そうすれば皆口々に会話へ割り込んできて、話題はいつの間にかローが如何に過保護かという話にすり替わる
実際は、ローの過保護さエピソード暴露大会と言った方が正しいかもしれない
「なにかとセナの行く先々に居るんだよな、会長って。もしかして覇気使ってます?」