生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
言われてみて、例えばカヤの立場が自分ならどうするのかを考えてみた
「うーん…?」
考えてみるのだけど、そもそもローがそういう類の本を読んでいることをまず想像することができない
さらに考えれば考えるほど、彼はそんな本を読んだりすることがあるのか…そこが気になってきてしまう始末
「いやそんなに悩むことか?」
流石に話を振ったキッドが、呆れ気味に問い掛けた
「だって…キッドは想像できる?ローがそういう本を読んでいるところ」
「あ?………ねェわ」
「でしょ?でも別に興味が無いとか、そういうわけじゃないんだよね…」
現にこの学園に入ってローと付き合い始めてから、幾度となく身体を重ね合わせているのはセナ自身である
彼はいつだってセナに過剰ともいえるスキンシップをしてくるし、その手つきは手慣れている方だろう
それでも普段の様子から一見すると、性に対して淡白なようにも見受けられた
「ローが淡白だっていうなら、私がこんなに日々腰痛に悩まされるのっておかしくない?」
「知るかよ。…まァ、気持ちは分からなくもねェけどな」
「それってどっちの気持ち?」
「あの野郎の場合、単純な話じゃねェか」
同じ男同士であるキッドには、ローの気持ちが分かるのだろうか
益々考え込んでしまいそうになり、セナは頭を抱えた
「難しく考えてんじゃねェよ、要するに…好きな相手だと自制が効かねェもんだろうが。お前も、欲が出たりしねェのかよ」
「欲が出る…?」
「例えばこの長鼻は、現実の女に手を出すまで溜まりに溜まった欲を吐き出すために本を読むんだろ。それこそいきなり欲をぶつけて嫌われねェよう、自制するために」
そうして世の男たちは己の溢れんばかりの欲を分散させて、ギリギリ理性を繋ぎとめているらしい
「それがだ、トラファルガーの野郎はど直球にお前に向いてるだけの話だろ。己の欲に忠実に、セナを求めて行動をしているだけのことで…あれでも本人はかなり自制してるらしいぜ。出来てねェけどな」
腕を組んで二の腕につけた腕章を指先で弄びながら、キッドは豪快に笑い声を上げた
「だからお前も、頼ってやりゃァいいんじゃねェの」
「キッドが、優しい…?」
ローを喜ばせることをしろなど、彼とは犬猿の仲とも言えるキッドがどういう風の吹きまわしか…
「優しい…?何言ってんだ」