生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
キッドの腕には風紀委員の腕章が光っている。登校時間以外に彼がソレを付けているのを見るのは初めてだった
「こんな休憩時間に、珍しいね?」
「あ?…あァ、お前は1年だもんな。どいつもこいつも連休明けのこの時期は一番気が緩んでやがる。毎年恒例だ」
「それで抜き打ちなんだ…で、ウソップくんは不要物って何を持って来てたの、ってアレ?!ウソップくん??」
セナを盾にコソコソと身を隠していたはずの姿が、いつの間にか見当たらない
辺りを見回すとそぉーっと床を這いながら逃げようとしている後ろ姿を見つけた
「テメェはァ!まだ逃げるか!」
「ぐえっ!」
その姿を見つけたのはキッドも同じくズカズカと大股で近付くと、這いつくばるウソップを片足で押さえつける
「ぎゃあああああッ、痛い痛い痛いッ!!」
「あ?力入れてねェだろうが」
「…おう、ホントだ。痛くねェ」
「………セナ、コイツが持ってた不要物ってのはなァ」
キッドは恐怖に気絶しかけているウソップの襟首を掴み上げ、立ち尽くすままのセナを振り返った
「…エロ本だ」
「へっ?…えっ、?」
「!!なんでセナに言うんだよォおおお!テメェは鬼か、悪魔かァああああ!」
正気に戻ったウソップが泣き喚き、キッドに八つ当たりと言わんばかりの蹴りを食らわす。もちろん余裕で躱されるのだが
「セナ〜頼む!カヤには黙っててくれ!!」
「えっ、あっ、落ち着いてウソップくん!大丈夫だから!でも、学校に持ってくるのは…どうかと、思う」
「ルフィが見てェって騒ぐからよォ…俺はなにも悪くな「いやテメェの持ちモンだろうが」
ウソップの言い訳に、呆れたような溜息を吐いたキッドが手を離す
そのまま突っ伏してしまった彼に、セナはどう声を掛けたものかとオロオロしてしまう
「年頃の男の子なんだし。きっと分かってくれるよ、カヤちゃんも」
分かりはしても、許してくれるかは定かではないけれど…女心とは、いつでも複雑なものだ
「セナは気にしねェのか」
「え?なにを?」
これ以上どう言葉にすれば、ウソップが立ち直れるだろうと考え込んでいるとキッドの声が降ってきたので顔を上げた
「あー…例えば、トラファルガーの野郎が長鼻と同じモン読んでるって知ったら、彼女として気にならねェのかよ」
「ローが?」