• テキストサイズ

生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第21章 教えてセンセイ(*)



『『あ、コレ完全に忘れられてる』』

化学室内の1-C生徒たちは寄り添うローとセナの様子を微笑ましげに見つめながら、内心全員がそう思っていた

しかしそう思っていることを口に出すことは、決して有り得ない
何故なら生徒たちに背を向けたセナ越しに、ローがひと睨み効かせていたから
見聞色の覇気の力で、聞き取られていたらしい

そんなローがゆっくりと唇で言葉を象る。声には出ていないが、簡潔なその単語は例え普通の人間であろうが、分かってしまう

『黙ってろ』

相変わらず恥ずかしさからうずくまり顔を上げようとしないセナは、生徒会長と生徒諸君のやり取りなど露知らず
再びこれまでの一部始終見られていることにも、やはり気付いていない

先ほどのシーザーのようにこの状況を気付かせてしまえば、それこそ今度は二度目だ。恥ずかしさのあまりこの三階の窓から身を投げ出しかねないだろう


こうした出来事は度々ある。もちろん2人が同じ学園内に在学する生徒同士なのだから遭遇率は高い、更には同じ生徒会所属であるがゆえに学年が違えど遭遇率はより高まるばかり

ちなみにそれでもセナ以外の生徒が同じクラスにも関わらず授業に遅れを取らないのは、この状態を逆手にとって教師たちが自習という状況に切り替えているからだ
静かに課題プリントを配られた生徒たちは黙々と己の学力を高めてゆく

ローの気配りと過保護さが仇となり、結果的にセナは抜けている授業が多くなるのだった

「…あっ」

ようやく落ち着いたセナが、おもむろに声を上げると背後を見回す
けれど誰一人クラスメイトたちは気にする様子もなく、黙々と机に向かっていた

『あ、あれ?』

いつから、みんなは見ていなかったのだろうか。ローと2人きりの世界に閉じこもるとつい現実を忘れてしまう
でも見られていなかったのなら、それでいい。まだ先の長い学園生活、クラスメイトたちと気まずい雰囲気で過ごすことにはなりたくないから

「ロー、テメェはいい加減戻りやがれ!お前が卒業出来なかろうが、オレは知らねェからな!?」

セナの傍らに未だ片膝をついていたローに、教師として見兼ねたシーザーがシッシッと追い払う仕草を見せた

「黙れシーザー。テメェなんざに心配されるほど落ちぶれちゃいねェよ」
「さっさと帰れェ!!」
/ 369ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp