生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
震える手を辿ってこちらに向けられた顔を見れば、目の前にある生々しい臓器の姿に青ざめて視線を落としている
あと少しで本鈴も鳴るところだ
「…セナに感謝しろよ。だが、触ったりすんじゃねェぞ」
念押しをして、ようやくシーザーの身体に心臓を戻すと受け取った鍵束をポケットにしまう
そして安堵の息を吐いたセナに改めて向き直った
しかしそれから、ローはその場を動く気配がない
「?ロー?授業遅れちゃうよ?」
「白猟屋に何を言われたんだ?」
「何を…ああ!そうそう、ローが学園一頭が良いんだよって、教えてくれたの」
数分前の会話を思い返し、セナがぽんと手を打つと自慢げに答える
「チッ、余計な話を」
「なんで隠そうとするの?凄いことなのに」
「別に…色眼鏡で判断されたくないだけだ」
人は才能や権力のある人間にたかり寄っていくものだと、ローは考えていた
自分にとって利得のある相手なら尚更、決してそういう奴らは本質を見抜いているわけではない
もしもそれらを何も身に纏わなくなれば、途端に離れて行くのだ
「特に、お前には…ちゃんと俺を見てほしい」
生徒会長である地位や、学園一と言われる頭脳ではなく…トラファルガー・ローという人間自身を見て、側にいて貰いたいと思う
「そんなの、当たり前じゃない!私は例え生徒会長じゃなくても、頭が良くなくても…ローがいい。ローだから、好きなんだよ?」
「セナ…」
キーンコーンカーンコーン
本鈴のチャイムが授業の開始を告げる
そのため教室内には既に1-Cの生徒が席についていた。ナミもシャチもキッチリ己の席に座っている
「ハァ〜〜〜めでたいヤツらだなァ、お前たち」
大仰な溜息を吐いてみせたシーザーの言葉にセナは一瞬で全身を真っ赤に染め上げた
口をパクパクとさせて、顔を隠すようにその場へしゃがみ込む
「まァ…それも今更だけどな」
「ッッ…!」
「シーザー、減らず口叩いてねェで授業でも始めろ」
「教師に命令してんじゃねェぞ?!俺様を誰だと思って…」
ギャーギャーと喚くシーザーは無視し、ローはうずくまるセナの傍に膝をつく
そして真っ赤になった耳元へ、唇を寄せた
「お前だけだと思うなよ。俺だって…その、どんなセナでも…愛してる」
「ッ、…なんで、今そういうこと…言うの…」