生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
いきなり話に入ってきた声に、3人が一斉に顔を向けた
「あれ、何でここにいるの?」
移動教室に着くと、何故かそこにはローが立っている
今からこの教室はセナたち1-Cの授業なので、3年であるローが居ることはおかしいはずだった
「シーザーに用があって来ただけだ」
「シュロロロロ!教師に向かって呼び捨てとは生意気だな、ロー!」
「つべこべ言ってねェで、さっさと渡せ」
「…どーしようかなァ〜」
奥から出てきた科学教師のシーザーが、何を思ったのか日頃の扱いに対する腹いせをするように突然ローに反抗し始める
しかし突然の態度に渋面を作ったローに気付くことなく、シーザーは視線を彼の背後に落とすと戸惑うセナの姿を目に留めた
「ん?なんだセナも居たのか。お前たちはもうすぐ授業だぞ、さっさと席に着「…ー"メス"」ギャアアアアア?!」
するりとローの目の前からセナの隣へ移動したシーザー。セナの肩に手を置こうとした瞬間、背後で静かに半円形のサークルが展開したことに気付かない
ローのオペオペの実の能力が発動されると、規則的に脈打つ心臓が掴み出される
痛みを感じることはない、それでもグロテスクな光景と直に触れられている違和感にシーザーはパニック状態に陥った
「シーザー先生、落ち着いて…ッきゃ?!」
泣き喚く大の大人をどうにか落ち着かせようとしたセナに、パニックのあまりシーザーが縋り付く
同時にギリリと胸が締め付けられた。ローが鬼の形相で手にした心臓を握り込んでいる
直に心臓を握られる痛みにシーザーはセナからも離れ、のたうち回り教室の隅でうずくまった
「さっさと渡せ。それと、セナに触ってんじゃねェ」
「ヒッ、悪かった!悪かったよォ…もうやめてくれェ!!」
ローが心臓を持つ手とは反対を差し出しながら部屋の隅へ更に追い詰める。シーザーは青い顔で震わせた手を懐に潜り込ませ、取り出した鍵束を手のひらに乗せた
「余計な手間を取らせやがって」
「だからッ、悪かったって言ってんだろォ!」
「…どうやら反省の色が見えねェようだなァ?」
目の前で再び手のひらに力を込めようとしたとき、手首に何かが触れる
その何かは少しだけ震えているセナの手だった
「私たち今からシーザー先生の授業だから、返してあげて?」