生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
そんなスモーカーの気疲れを知ることなく、教室に戻ったセナを待っていたのはクラスメイトのナミと、幼馴染のシャチ
呼び出されたセナを心配したのか、2人して待っていたようだ
「シャチ!ナミ!待っててくれたの?」
プリントを持った手を振って2人の元へ駆け寄ると、辿り着いたところで突然ナミが真剣な表情で肩を掴んでくる
「なっ、なに?」
「よく呼び出されてるけど、変なことされてないでしょうね?」
「変なこと?誰に??」
「白猟にだよ!いかがわしい事とか、されてねェか?!」
真剣なナミの隣から、同じく真剣な表情で顔を覗かせたシャチが言葉を続けた
その内容を聞き終えた途端、セナは思わず吹き出してしまう
「ふふっ、2人ともローみたい」
「「はっ?!」」
「だって、スモーカー先生担任だし。ほら、わざわざテスト範囲まとめたプリントくれただけだよ?」
恋人であるローの心配性が仲間にも伝染っているとは。大げさだと笑いながらも、どこか嬉しい気もしてセナは笑みを深くした
「それに職員室なんだから、他の先生たちも居るのに。2人が心配するような事、あるわけないでしょ」
どちらかと言えば、きっと周りより過保護にされているのだと思う。こうしてわざわざプリントを纏めてくれるところだとか
スモーカーにまで、これまたローの過保護が伝染っているのかもしれない
「それよりなんで、試験のこと教えてくれなかったの」
「教えるも何も、居ないんだから伝えようないでしょ」
予鈴が鳴り始めたので移動教室に足を向けながら、ナミがプリントを手に取ると視線を落とす
「で、この範囲内で分かる割合はどれくらいあるの?」
「ご、…6割かな」
「誤魔化しても変わんねェだろ、それ」
やれやれと肩を竦めたシャチが突っ込むと、セナは再びしょんぼりと項垂れた
生徒会であるため赤点は許されない、追試もない…先ほどまで散々積み重なったプレッシャーが再び顔を出し始める
「どうしよ…」
「どうするもこうするも、勉強するしかないわね」
「上に同じく」
きっぱりと言い切られて、セナは深い溜息を吐いた
「でもお前は会長居るからいいじゃん」
「下手な教師より頭良いのよね、トラ男って。よかったじゃない」
「それスモーカー先生にも言われたよ」
「白猟屋に何を言われたって?」