生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第21章 教えてセンセイ(*)
それは突然訪れた
担任のスモーカーから、職員室に呼び出されたかと思えば手渡された2枚のプリント用紙
大きく太字で書かれた部分に視線を落とすと、飛び込んできたのは【中間試験範囲一覧】という文字
さらに続く文字を辿ってゆけば、入学してから今までに習った範囲が細かく記されていた。しかし各科目と範囲が並ぶ中、見覚えのない範囲がチラホラある
「あァ、お前は何かと巻き込まれるせいで授業出てねェんだろ」
確かにこの学園に入学してからというものセナの周りでは何かと騒動が起こっていた
そして騒動のたび、呼び出されたり捕まったり、連れ去られたりということが多いため授業どころではないことが多々ある
入学初日から恋人となったローと人には言えぬ理由で遅れたこともあるけれど、それはこの際騒動としてまとめておこう
問題は過ぎ去った出来事の話ではない
「ええっと…この分からない範囲、どうすれば」
「ンなもん自分でやるか、他の生徒に聞くかだろ」
「ですよねぇ…ははは…」
「まァ…セナならローにでも聞きゃイイんじゃねェか。アイツは"学園"成績トップだからな」
「えっ、学園…?学年、じゃなくてですか?!」
普段のやり取りでも頭の良さは感じていたが…学年の成績トップではなく"学園"の成績トップだったらしい。さすが生徒会長というところか
「生徒会の人間が赤点だけは取るんじゃねェぞ。言っておくがウチは追試もねェからな」
「…頑張ります」
スモーカーの言葉に次々とプレッシャーが重くのしかかってきて、もう頭が上がらない
あまりの重圧に耐えかねて項垂れたままのセナを目の前に、スモーカーが小さく溜息を吐くと手を伸ばす
そのまま優しくポンポンとしょぼくれた栗色の髪を撫でた
「…?」
「あー…俺は体育教師で力にゃなれねェが、他の先生に話しといてやるから。あとでちゃんと聞きに行けよ」
「!ありがとうございます!!」
スモーカーの言葉に先ほどまで青ざめていたセナの顔が、ぱぁあっと明るく笑顔を見せる
そのことに思わず撫でていた手を引っ込め、顔を背けた
「あ、あの?」
「いや…っつーか、そろそろ戻れ。次の授業は移動だろうが」
「はっ!そうでした!失礼します!!」
パタパタと慌てて職員室を後にしたセナを見送って、スモーカーは盛大に大きな溜息を吐く