生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第6章 焦がれる指先
今にも零れ落ちそうだった涙は、セナが瞬きをした瞬間に溢れ出て頰を伝う
そっと手を添えて、冷えていく涙を拭ってやればヒクリと震えて止めどなく涙が零れてくる
「だから、泣くな…」
「ン、泣いて…ない…もん」
「明らかに泣いてんじゃねェか」
どの口がそんな分かりきった嘘を吐いてやがる
泣いてないヤツはしゃくり上げながら喋らないもんだろ
あとなんだその『もん』って言うのは、ガキか…可愛すぎるからヤメロ。今はいいけど、他の野郎の前でそんな喋り方したら確実に相手の耳を削ぎ落とす
「だいっ、たい」
「は?」
「ローがっ、怖い顔してるのが悪いんじゃないッ」
「…この顔は生まれつきだ。悪かったな」
頰をかすかに膨らませ、潤んだままの黒目で上目がちに睨んでるつもりだろうが、あいにく逆効果なんだよ
さっき一瞬だけ触ってしまった柔らかい感触で、あっという間に熱は全身に巡り切っている
今はセナの何もかもが、俺を煽る興奮材料でしかない…その声も視線も熱も全てを貪り尽くしてやりたい
『ああ、でも…こいつは』
何もかも、初めてだと言っていたんだ
告白も彼氏も、キスも…エッチなことも全て
セナの記憶に1番最初に刻まれるのは俺の全てか
それは甘美ともいえる
優越感、支配感、独占欲…執着心
「ねぇ、聞いてる?」
「…なんだ?」
「もうだいぶ遅刻だけど、学校行かなくちゃ」
「ああ、そうだな」
過去にテキトーで付き合ってきた女達とは違う
ここで手を出すのはきっとこれからのマイナスになる
「さっきから何を考え込んでるの?」
「べつに」
「もしかして体調悪いんじゃない?少し顔が赤いよ」
ぐぐっと乗り出して顔を近づけてくるから、ただ本能的に上体を反らして避けようとした。壁から手を離して
こうなると元々足元は不安定な体勢だったため、バランスを崩して後ろに倒れる
そして俺を支えにしようとしてたのか、同じようにしてそのまま覆いかぶさる形でセナが倒れ込んできた
ズデーン!
「いッ…てェ」
「だ、大丈夫?スゴイ音し、た…」
打ち付けた背中の痛みに顔を歪めていると、俺の上から心配そうに覗き込んできた顔が一瞬で真っ赤になる
「おい?どうした」
「えっ、あっ」
「どこか悪いのか?」
「あっ、たって…るん、だけど」
「ハァ?」
「その、足に…硬い…モノが…」