生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第20章 ハートに鎖(*)
観音開きの重厚な扉の前には、顔にいくつか絆創膏を貼り付けたコラソンの姿があった
痛々しいその姿に、セナは思わずそっと手を伸ばす
「コラソン先生…痛い、ですよね」
黄猿に抱えられ聞かされた話を思い出した
セナを攫いに来る前に、痛い目に合わせた男が居たと
『へーんな化粧をした派手な大男で、そういえばあれは…ここの副学園長じゃァなかったかな?』
いつもは道化のピエロのようなメイクを施した顔が、今は治療の為に落としたのか…セナは初めて見るコラソンの素顔だった
そして初めて見る彼の顔には、所々鬱血や小さな傷がいくつも見られる
「セナちゃんこそ、怖かったよな…本当に、悪かった」
悲しそうでいて、悔しそうな複雑な表情を浮かべたコラソンがセナの手の触れる前に深々と頭を下げた
「ドフィが…兄が、学園長という立場にありながら。生徒を売るような真似をして…傷付けて、すまない」
この学園の副学園長を務める彼は、今回の騒動の発端である学園長のドフラミンゴと血の分けた兄弟である
だからといって、コラソンが謝る理由は何処にもなく。寧ろ止めようとしていたはずだった
「頭を上げてください。コラソン先生は何も悪くないじゃないですか。あの黄猿という人を止めようとしてくれたんですよね?」
そうしてこんなに無数もの傷を負っているはずなのだ。どうにか上げさせた顔は、やはり複雑に歪められている
「けれど止められなかった。だからこうしてセナちゃんも、ローにも辛い思いを「もういい。コラさん」
どうしても納得がいかないらしいコラソンが、さらに言葉を続けようとするのをローが遮り制した
「セナも俺も、もう大丈夫だ」
ただそれだけを紡いだローに続いて、セナも口を開く
「コラソン先生が、無事で居てくれたのが何よりですから!本当に、それが何よりです」
「ロー…セナちゃん……ッ、ありがとうなァ!!」
ぶわわっと一瞬にして涙と鼻水まで垂らしたコラソンが、2人まとめて抱き締めた
ローはやれやれと溜息を吐きされるがままに、セナはコラソンを宥めるように背中をさする
暫く大泣きしたあと、コラソンはここへ来た目的を思い出し窓の外を指差した
夕日はほぼ沈みかけ、ほんのり薄明るい夜空には星がいくつか瞬いている