生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第20章 ハートに鎖(*)
ぐったりとソファの背もたれ部分にうな垂れるようにしがみつき、セナは呼吸を整える
対照的にその隣に腰を下ろし、静かに様子を見守るローは一切呼吸の乱れがない
終わった直後は、もちろん少し乱れていた気もするけれど
汗に張り付いた栗色の髪が横顔を隠すので、避けるように触れるとそれだけでピクッと反応が返ってくる
そうすると、ほんの少しだけ2人の間に距離が空いた
「…」
「や、あの…もう、無理だからね?」
「んなこたァ分かってる」
あからさまに全身で避けられたことに、ローの眉間には深く縦皺が刻み込まれてしまう
不機嫌を纏った視線が、ジィッとセナを無遠慮に見つめた
別に怒ってはいないのだろうけど、そもそも目付きが良いとは言えないローに無言で見つめられると睨まれている感覚である
「セナ」
再び触れようと伸びてくる腕に、反射的に逃げそうになるのをどうにか堪えた
それでも全身が彼の熱を感触を、鋭く感じ取ってしまうのは抑えられない
指先が首元に触れただけで、大袈裟なほどに身体が跳ね上がる
「ッ…!」
「…そういう反応は、無理だと思えねェがな」
「?!無理だからね!…反応しちゃうのは、仕方ないじゃない」
気怠い身体を起こすとローに向き直り、伸ばされていた腕をすり抜けて倒れ込むように抱きついた
「たくさん愛されて、それよりもっとたくさん愛している人に触れられたら…反応しないなんて無理だよ」
「フッ、とんだ殺し文句だな…だが」
抱きついた身体を固定され、離れることが叶わなくなると耳元に唇が寄せられる
「そうなるのは、お前だけじゃねェ…俺だって、同じだ」
「あ…ッ」
息を吹き込むように低く甘く紡がれた言葉に、胸が温かくなるのを感じた
しかしこれ以上熱が灯るのは、セナの身体には厳しいのも現実で
「ろぉ、ホント…もう」
「分かってる。此処ではもうシねェよ…そろそろ、コラさんが戸締りに来るはずだ」
「ロー、セナちゃん。入ってもいいか?」
そんな話をしていた矢先、タイミング良く扉がノックされると中を窺う声が聞こえた
少しばかり名残惜し気に、2人は密着していた身体を離す
「コラソン先生、大丈夫です」
扉の向こうで待つコラソンをあまり待たせるわけにもいかないので、セナはフラつきながら扉を開けて顔を覗かせた