生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第20章 ハートに鎖(*)
「そろそろ、帰ろっか。じゃないとコラソン先生が帰れないし」
「いや俺は…というより、セナちゃんの格好…教師として返せないんだが」
マジマジと見るのも気が引けたコラソンが、視線を泳がせながら時折セナを見遣る
年頃の女の子の顔に、痛々しい鬱血の跡があるのも両親に説明しなければならないことだけれど
そこに辿り着く前に、セナの今の姿は外へ出すこと自体躊躇われるほどだった
完全に大きく破れて着衣の意味をなしていないブラウス。その上からかろうじて羽織られた大き過ぎる上着は、帰ってくる際ローから借りたモノだ
本来着ていたはずの自身のブレザーは騒動の中で手元に戻ることは無かった
「ローがROOMを張るには、ちょっと距離があり過ぎるし…ウチは予備のレンタルとか、無いんだよなァ」
コラソンは低く唸りながらガシガシと頭を掻いてしゃがみ込む。その拍子にバランスを崩して尻もちをついたのはドジな彼のお約束だ
「シャチかペンギンに持って来させるか?」
今日は生徒会室に立ち入れないので、もう帰っている頃だろう。そんなローの提案にセナは首を振った
「ううん、もう遅いし。それにこれから暗くなるから、ちょっとくらい見えそうでも大丈夫だよ」
暗がりに目を凝らして、すれ違う人間の服装なんてマジマジと見たりしない。セナは胸を張って何故か自信満々だ
「そういう問題じゃねェ」
「…うん、俺もそう思う」
「え?なんで?」
言うことに一理はあるのだが、実際そういう問題ではない
彼女には危機管理能力というものは一生備わらないようだ
「分からねェならいい。あとセナは俺が抱いて帰る」
「えっやだ!歩けるから、っきゃ!」
ローの宣言と共に伸びてきた腕を回避しようとするが、避けられた試しなどないためあっさり抱き上げられてしまう
「愛されるんだろ、俺に」
「今その話は恥ずかし「答えろ」
「っ、愛され、るよ。ローだけにね」
「なら、守られていてくれ。お前に何かあれば、気が気じゃない」
「…うん、ごめんね。愛して、ロー?」
漸く首に回された腕に満足げな笑みを浮かべたローと、真っ赤になったセナ
そんな2人を扉の外で待っていたコラソンは、微笑ましく思いながら煙草に火を点け紫煙を燻らせた
明るく照らす月さえも、2人の邪魔をしないように