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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第20章 ハートに鎖(*)



「…?」
「人の話を最後まで聞け。そもそも勝手に思い込みで自己完結してんじゃねェ」

少しだけ身体が離れると濡れてしまうのも構わず頰を両手で挟み込み、見つめ合うように顔を固定されてしまう

「誰が無理だと言った。…手ェ貸せ」
「え、っと…?」

今度は片手で顎を掴み固定されたまま、空いた手が投げ出されていたセナの手を引っ掴んだ
顔はローを見つめたまま、意思とは関係なく動かされる手を導かれてみれば指先に熱く張り詰めた感覚が触れる

「??!」

その感覚がどんな状態を意味するのか、今のセナは知らない訳がない

「無理だったら、こうはならねェだろ」
「でもさっき…怒ってた、よね?」

「…ハァ………


テメェのモンに手ェ出されて、怒らねェ方が無理な話だ」

どれほど切り刻み無惨な姿にしようとも、完全に息の根を止めることまでは出来なかった


それは愛する彼女が、敵の死を望まなかったから

「トドメは刺さなかったんだ。せめて恨むくらいはさせろ」

不安げに揺れている瞳を覗き込んで、鼻先に一つ口付けを落とす
セナはきょとんとしてローを見上げた

「間抜け面」
「なっ!」
「間抜け面でも勃つもんだな」
「そんな報告いらないから!」

下世話な会話に持ち込めば、一瞬にして目の前の顔が耳まで真っ赤に染まる
その様子にローはクスリと笑みをこぼしたが、すぐに真剣な表情に変わった

「余計な心配ばっかしてんな」
「ッだって…」
「お前はただ俺だけ見てりゃいいんだよ」

過ぎ去った出来事など、2人を繋ぐ未来になんの障害にもならない
大事なのはこれから先もローを想うのがセナであり、セナを想うのがローであること


「俺から逃げるな、目を逸らすな。ただ俺はセナという女を生涯愛するだけだ」


すぐ側に置いてあったセナの心臓を再び手に取り、触れるだけの口付けを落とす
それはまるで男女が永遠の誓いを交わす行為とよく似ていた


ドクリと、手の中の心臓が応えるように大きく脈打つ
ローはその様子を満足げに見つめて、セナの体内へと心臓を戻した

何事も無かったかのように、本来のあるべき場所へと収まった心臓は静かに鼓動を刻む
規則的に脈打つ命には、鎖よりも確かな愛が刻まれた

そうして何度目かの柔らかな感触を背中に感じる
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