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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第20章 ハートに鎖(*)



ドクリ


ローの行動に、心臓が跳ねるように一段と鼓動を速めた
体内に感じるはずのソレを、今は目の当たりにして自覚させられる


「な、に…して…」

心臓にただ触れられているだけなのに呼吸が苦しくなる気がした
決して触れる手に力など込められていない、寧ろ壊れ物を扱うかのようにその所作は優しく繊細なもの

それなのに、握り潰されるよりも残酷だと思えるほどに胸が締め付けられるのは何故なのか


「苦しいか」
「、え?」
「逃げたいんだろ」
「そんなこと…ッ」

再び恭しく唇を寄せて、脈打つ心臓に口付けられる光景を目の当たりにする


「けど、簡単に死なせてなんかやらねェ」
「なん、で」

何もかも許されないまま、彼のいない彩りを失くした世界で生き続けなければならないのか

『確かに…死ぬより残酷かも』

そしてきっと、それほどまでに自分は彼を追い詰めたのだろう


「分かった」

命を繋ぐ心臓は彼の手に。もはや自らの死も選べなくなってしまった

「ごめんね、ロー」

出会った時から、彼を苦しめてばかりいる
だからこれは、償いなのだ



「セナ」
「?なに」

「泣け」
「?」
「笑えねェのに、無理してんじゃねェよ」
「…ダメ」


ここで泣いてしまえば、縋ってしまうから
許して欲しいと、側に居させてと、惨めに無様に…ローを求めてしまうだろう

「私には、これがお似合いなの」

上手くなんて笑えないけど、これから1人で生きていくにはきっとこの方がいい
今までがそうだったように


「勘違いするな」
「え…?」


勘違い、何のことだろう
彼の言葉を素直に受け入れただけだ、だから何も間違いなどないのに

「どういう、こと?」
「どうせまた、1人で消えようとしてたんだろ」

「…許されないのに、側に居ろっていうの?」

許さないと言ったのはローだ。それなのに、側に居ろというのか
許されもしないのに?

「そんなの、耐えられるわけ…ないじゃない」
「?何を言って…」

くしゃりと表情を歪めたセナの瞳から、ハラハラと涙が溢れ落ちる
泣きたくない、そう思うのに…一度堰を切った涙腺は止まる術を知らず、壊れたように涙を流し続けた

「許せないのなら、いっそ嫌いになってよ!突き離して、関わらなければいいじゃない」

ローの手の内にある心臓が、早鐘のように脈打つ
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