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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第20章 ハートに鎖(*)



セナの言葉にピタリとローの動きが止まる
それはまるで呼吸さえも止まったのではないかと錯覚しそうなほど、目の前の彼は微動だにしなかった

心臓を取り出して欲しいなど、普通ならばとんだ猟奇的な発言だと思う
けれどそれはローならば、ローの持つ能力ならば容易いこと
それを知っているからこそ、セナは言葉にした

「…どういう意味だ」
「そのままの意味よ?私の心臓を取り出して、許せないのならどうしてくれたって構わない」

心臓を握り潰されようが、バラバラに切り刻まれようが構わない。それだけ自分は彼を傷付けたのだから
ちっぽけな命程度で、どれほど償えるのかは分からないけれど

すると今まで無表情に凝視するだけだったローの瞳に、悲しみの色が浮かんだように見えた

『どうして…?』

どうすれば正解なのか分からない
目の前の彼への償いも、そんな彼への対応も


「…-"ROOM"」

ブゥン…

悩んでいると辺りを半円状の薄い膜のようなサークルが包み込む
これがローの能力で、今この場所は人体を自在に改造できる手術室だ

彼が手を差し出した
ちょうどセナの左胸の辺り。全身に一瞬の緊張が走る

「-"メス"」

心臓を取り出して欲しいと言い出したのはセナ自身。けれど実際にその光景を目の当たりにすると、かなりショッキングだった

痛みもなにも感じず、胸元にはポッカリと四角い穴が空く
穴とちょうど重なるサイズの透明なキューブの中には、ドクリドクリと脈打つ臓器が何事もなく機能していた


取り出されたセナの心臓は、一部分が白く染まっている
それはかつてローの故郷であるフレバンスの街を潤わせた鉱物。しかしその正体は通称"白い悪魔"と呼ばれ、いずれは中毒症を引き起こし全身を痛みと白い跡が蝕む

けれどセナは未だにその症状を覚醒させることなく、体内に留めていた
結果、そのせいで連れ去られ数時間前の恐怖を味わうこととなったのだが


ローがサークルの展開を解いた
辺りは一瞬にして元の光景に戻る。2人の間にある、セナの心臓を除いて
胸元に空いた穴は、何事もなかったかのように一見は元通り塞がっていた


「…」

無言のまま、ローが手のひらを自らに引き寄せる
そうして手の内で規則的に脈打つ心臓に顔を寄せ…


チュッ

口付けを、一つ
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