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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第19章 お前を許さない



ただ静かに、一部始終のやり取りを見守っていたナミが同情気味に声をかけた
その言葉を皮切りに、その他周囲で立ち尽くす仲間たちも微苦笑を浮かべて肩を竦める

「会長、これがセナですから」
「アンタが一番よく分かってるんじゃないッスか」

続くペンギンとシャチの言葉に、ローは更に深く溜息を吐いた

そんなこと、言われなくとも分かっている
分かってはいるのだけれど、ローはやはり腑に落ちないのか不服そうに眉根を寄せたままだ
セナの身体に回されたままの腕には、心なしか先ほどより力が込められているように思う

「フフッ」
「…何がおかしい」

そんな様子を一番間近で目の当たりにしていたスミレが、堪え切れず笑いを漏らした
さらに不満げに、ローの表情が曇りを帯びる

「ローも、そんな表情できるのね」
「は?」
「私の知っているローは何処にも居ない、だから私の負けですわ」

目尻に浮かんだ涙を指先で拭いながら、笑みを浮かべたままのスミレはどこか清々しいような表情だった
そして2人の間できょとんと呆けるセナの手を取り、握手を交わす

強く込められた力に、応えるようにセナも力を込めて笑顔を浮かべた

「後の処理は私にお任せくださいな」
「それじゃあスミレさんが…」
「私を誰だと思ってるのかしら?この学院の総生徒会長ですわよ」

以前より凛とした声で、柔和な笑みを浮かべるスミレにもう未練や迷いは無くなっているようだ

「大丈夫ですよ、セナさん!私も居ますから」

毅然と立つスミレの背後から、たしぎが顔を覗かせニッコリと笑みを向ける
握り合った2人の手に手を重ね、力強く頷いた

「たしぎさん、スミレさん。本当に有難うございます」


「さて、そろそろ迎えが来る時間だぜ。準備はいいかい?」

ひと段落ついたところで、サンジが眩しげに天を仰いだ
雲一つない空高く、キラリと光る集団が段々地上へと近づき影を落とす

巨大な一頭の牛を先頭に、周囲を固めるのは負けず劣らず巨大なトビウオの群れ
少し離れた学院の中央に位置する巨大な池に一斉に飛び込んだ
その勢いで水柱が立ち、激しい水飛沫となって池から溢れ出す

「若旦那!お待たせしちまったなァ!」

水飛沫がおさまると海楼学園の制服を着た男子生徒が1人、白目を剥きながらウインクをして牛の上に跨っていた
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