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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第19章 お前を許さない



セナが無事で良かった
ここに居る全員が思うように、自分も心からそう思える

「だから…ごめんなさい。ごめん、なさい」

彼女のことを何も知らなかった、それなのに愚かにも攻撃してしまったことを
浅はかにも陥れようとしてしまった自分を許してもらえるとは思わない

それでも、スミレは何度も謝罪の言葉を口にした


いつの間に頰は涙が伝っていたらしい、セナの羽織る制服の肩口を濡らしてしまう

すると顔を上げられないスミレの頭にそっと触れるように、手のひらが添えられ撫でられた
そしてより一層強く、強く抱きしめられる

「な、に…」

いきなりのセナの行動に考えが追いつかずそれだけ言葉を絞り出すのが精一杯だった

「謝ることなんか、何もないですよ」
「え?」

「だって助けてくれたじゃないですか。だから、もういいんです」

目の前にある星の輝きを閉じ込めたように煌めいた、星空のような黒曜の瞳に映り込む自分の表情はとてもマヌケな顔をしていて、スミレは思わず視線を逸らす

「ありがとうございます、スミレさん」

花が綻ぶように、微笑みを浮かべたセナに再び言葉が詰まった
彼女の腕の力は緩んでいるのに、ひどく胸が締め付けられる
何の言葉も紡げず、困惑の表情を浮かべてセナに視線を戻すと同時に彼女の身体が離れてゆく

「いつまでそうしているつもりだ」

キョトンとした表情を浮かべた彼女の背後で腹に腕を回し、引き寄せたのは不機嫌を露わにしたローだった

「ロー、離して?」
「すぐ絆されやがって。簡単に敵と馴れ合うな」
「敵って」

セナを抱きしめ見下ろす表情は、不機嫌そうに眉間に深く縦じわが刻み込まれている
しかしその瞳には馴れ合うことへの怒りというより、触れ合っていたための嫉妬の炎が灯っているように見えた
それはセナこそ分かりきっていることだったようで、呆れたように溜息を吐くと返答を考えあぐねている

「スミレさんは、もう敵じゃないでしょ?」
「お前な…あの女のお前に対する言動を忘れたわけじゃねェだろうな」
「忘れてはないけど、だからってローが怒ることでもないんじゃない?終わり良ければ、全て良し。でしょ!」

ローの腕の中から見上げるセナの言葉に、今度はローが呆れたように溜息を吐いた

「トラ男、諦めなさい」
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