生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第19章 お前を許さない
たしぎの助けを求める切実な声を聞いた敵は、手探りながらも彼女の居る方向へ導かれてゆく
『『ッガ…!!』』
しかしそこで待ち受けているのは、同時に移動していたスモーカーの拳と、たしぎの峰打ち
更には数人ごとに縛り上げ、作戦に気付いたとしても応戦出来ないようにするのも忘れない
そうこうしている間に、進行方向が開けた隙を縫ってローが目的の森へと走る
白煙が晴れた頃には、彼らの標的であるローの姿は既に無く
寧ろ殆どの敵は拘束され、残された人影が後を追おうと駆け出すが、呆気なく残りの2人の手によって身動きが取れなくなった
そうした、咄嗟のたしぎの機転のお陰でローはセナの救出に間に合ったのだ
「遅くなったが…改めて礼を言う」
セナの隣に並んだローが決して深々とではないが、頭を下げた
「いえっ、そんな…!頭を、上げて下さい…ッ」
たしぎは必死に何かを堪えるように表情を歪ませる
そんな表情を汲み取られまいと、俯き気味になりながら若干声を荒げた
「たしぎさん、私からも…本当にありがとうございます」
「!セナさんまで…!」
頭を下げ続けるローの隣で、セナも深々と頭を下げる
そんな2人の様子に慌てふためくたしぎの頭に、大きな手が乗せられた
「スモーカー、さん?」
「泣きたきゃ泣け。ここには、お前を笑う奴なんざ居合わせちゃいねェんだ」
「ッ…!」
レンズ越しに、堪えていた涙が一気に溢れて頰を伝う
ローは頭を上げながらも、帽子を目深に被り視線を逸らした
セナは微笑みながら、彼女の涙を拭い、抱き締める
ガサガサッ
「オイオイ、なんだァ?この状況は」
「!キッド、無事だったのね!」
唯一、はぐれたままだったキッドが姿を現した。セナが安心したように、表情を緩めた
「当たり前だろォが、どいつもこいつも雑魚ばっかだったぜ」
心外だと言わんばかりに鼻を鳴らし、キッドは不機嫌を顔に浮かべる
いつも通りの彼の態度に、セナは心底安心した
「ありがとう、助けに来てくれて!」
「…誰がお前をこんな風にした?」
改めてこちらに身体を向けたセナの姿をマジマジと見つめ、キッドは眉間に皺が寄ると渋面を作る
無残な形となった制服を身に纏い、その顔は痛々しく腫れているのに怒りが込み上げた