生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第19章 お前を許さない
赤黒く鬱血し、変色した頰にそっと手を触れさせた
一瞬痛みからかピクリと反応したが、それからセナはただ困ったように笑うだけだ
触れて間もなく、触れていた手首を掴み上げ引き剥がされた
誰が、などと確認しなくても分かりきっている
「何しやがる、トラファルガー」
「それはこっちのセリフだ、ユースタス屋。気安く触ってんじゃねェよ」
いつもの事だが、この2人は顔を突き合わせればこうだ
まして、セナが絡むと余計に拗れる
「ちょっと、2人とも!」
「俺は親友の心配してるだけだぜ?相変わらず小せェ男だな」
「テメェに小物扱いされたくねェな。隙を見つけては手ェ出そうとしやがって」
睨み合う2人の間には、激しく火花が散っていた
呆れたセナが止めに入ろうとするけれど、2人はまったく聞く耳を持たない
「ふふっ」
「あ?何笑ってんだァ?メガネ女」
「キッド!」
3人の光景を見ていたたしぎが、小さく笑みを漏らすと目ざとくキッドが反応を返し突っかかる
慌てたセナが腕を引き、窘めるような視線を向ければキッドはバツが悪そうに視線を逸らした
いきなり突っかかられてポカンとしているたしぎに、セナは向き直ると頭を下げる
「すみません、たしぎさん」
「いえ!こちらこそすみません…でもセナさん、ホント皆さんに愛されてるんですね。なんか、私まで幸せな気持ちになっちゃいました」
顔を合わせれば喧嘩をするような性格もバラバラな仲間たちが、セナのためにここまで乗り込んできたということは
それだけセナが愛されるべき人物であることを物語っている
そしてそれはたしぎ自身が、知り合って間もないはずなのに痛いほどよく分かっていた
スモーカーの生徒だとかそういう事実は関係なく、無意識に彼女を守りたいと思って手を貸している自分が居たのだ
セナには、そんな周囲の人を惹きつける何かがあるのだろう
「セナ!そろそろ此処を出ないと、また加勢が来そうよ」
辺りを窺いながら様子を見守っていたナミが声を上げた
セナを取り戻した今、これ以上無駄に騒動を大きくはしたくない
「セナさん、あとは私に任せてください」
「でも、そうすればたしぎさんが」
「あなたたち、私の存在をお忘れかしら?」